TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月29日(木)放送では、公認会計士で税理士の森井じゅんさんが“大阪都構想”について述べました。
◆大阪都構想=菅政権!?
11月1日に行われた住民投票で否決となった大阪都構想。今回、森井さんがこのテーマを掲げた理由は、大阪都構想を推進する大阪維新の会と菅政権の親和性の高さからで、「実はすごく似ていて、菅政権がやりたいことを大阪で実行している」と言います。インバウンドやIR(統合型リゾート)などを引き合いに、「いろいろな面で、私たちは大阪で起きていることから国の方向性を感じ取らなければならない」と主張。
大阪市を4つに分割し、特別区を設置することを目指していた大阪都構想。そもそも市はサイズや人口などによって「一般市」、「中核市」、「政令市」とランクアップし、それぞれ財源と権限が異なります。今回は政令市から特別区になるにあたり「従属的な権限を失うことになるから住民投票が行われる」と森井さんは解説。
東京23区も特別区で、森井さんは「特別区は権限が非常に小さい」と話します。また、市と区では持てる税目も違い、現状大阪市は7つの税目を自主財源として使っていますが、特別区になると3つになり、税収は4分の1に。残りは大阪府に召し上げられ、そこから分配される形になるため「自分で使い方を決めることができなくなる」と説明。総じて森井さんは「権限というのはお金に裏付けられている。それを決められる力、財源と権限を失うことは、すなわち自治を失うこと」と明言します。
ちなみに、東京都は1943年に東京府と東京市が合併してできました。その理由は戦時中に、トップダウンで物事を決めるため。その後、それぞれの区が発展し、少しずつ自治が拡大していき、「なんとか今の形になった」と森井さん。
◆大阪都構想の目的と問題点を解説
大阪都構想の目的は「二重行政の解消」と言われていましたが、森井さんは「府と市が対立してしまうと発展できない。だから府を偉くし、大阪市の権限を小さくすればトップダウンになるという話」と言います。大阪都構想で目指していたのは「集権的な小さな政府」で、これは国や菅政権も同じだと森井さん。
一方、問題点はグローバリズムで、競争化や民営化が進み、最終的には外資や大企業に資産を売り渡すことに。それがまさに今の状況で、「国も大阪も公務員を削減するなど緊縮財政でやってきているが、それは大きな問題」と指摘します。昨今話題の日本学術会議の任命問題含め、説明不足な上に情報も錯綜し、デマが氾濫するなかで賛否を問うと「どうしても分断が起こる。それが今の日本であり大阪」と森井さんは憂います。
そして「ここが一番重要」と前置き、大阪都構想にあたって出されていたさまざまな試算のメモのなかの一部分を紹介。
そこに書かれていることは「何かあったら国が面倒を見てくれるから大丈夫だよと言っているようなもの」と言い、「これはすごく大事なことで、小さな政府を目指しながら、図らずも大きな政府を母体にしている」とその矛盾を指摘。
ただ、これは当たり前のことで「私たちは日本という国に生きていて、通貨発行権のある国が経済を底上げしていく。みんなで豊かになっていくことをやっていかなければならないのに、現状はパイの奪い合いをしている」と森井さんは危惧。「本当に小さな政府でいいんだろうか?」と疑問を呈し、「それが自由競争、改革というイメージ的なものに繋がり、分断を起こしている。ぜひみなさんには、この状況を考えてほしい」と訴えていました。