スウェーデンの首都ストックホルムの郊外で、40歳前後の男性をアパートの自宅に30年近く監禁してきた疑いで、70歳の母親が逮捕された。
地元メディアなどによると、男性は先月29日、ハーニンゲ市のアパートで親類によって発見された。母親が病気になって病院に運ばれたことで、見つかったとされる。
男性は負傷しており、不衛生な環境で生活していた。病院に搬送され、手術を受けている。
母親は不法な監禁はしていないと述べているという。
警察は現場のアパートの立ち入りを規制し、捜査に着手。目撃証言を求めている。
捜査中は、母親は警察に勾留される見通し。警察によると、不法監禁で有罪となった場合、最長10年の禁錮刑が科されるという。
■尿や腐敗の臭い
地元メディアによると、男性を発見したのは、姉または妹だという女性だった。母親が病院にいると聞いた後、29日夕にパートナーと共にアパートを訪れたという。
女性はスウェーデンの放送局SVTに、自らは10代のときに家を出て、それ以来、男性の姿は見ていなかったと述べた。
男性は11歳か12歳で学校に行くのをやめさせられた。男性にとって問題だと、女性は何とか知らせようとしたが、うまくいかなかったという。
母親はかつて幼子を失った経験があり、それを気に病んでいた。次に息子を産むと、同じ名前をつけた。母親は亡くなった息子を取り戻したいと願い、過保護になっていったという。
女性が29日にアパートを訪れた際、施錠されていないドアを開けると、室内は真っ暗で尿や腐敗の臭いがし、土やほこりだらけの状況が確認できた。「こんにちは」と大きな声を出したが、返事はなかったため、いろいろな物が散乱する部屋を奥へと進んだという。
台所で音が聞こえ、隅に男性が座っているのを見つけた。街灯の明かりが差し込んでいるだけで、暗かった。男性の両脚は、膝まで腫れ上がっていたという。
■歯はほとんど失われ
男性は彼女を見ると立ち上がり、女性の耳元で彼女の名前を何度もささやいた。歯はほとんどなく、声は聞き取りにくかったと、女性は地元紙に語った。
かなり長い年月がたっていたが、男性は女性を認識し、恐れる様子はなかったという。
男性が病院に運ばれると、医師らが警察に通報。母親は逮捕された。
女性は地元紙エクスプレセンに、「彼が助けられ、生き延びられることをありがたく思っている」と述べた。
一方、ストックホルム検察のエマ・オルソン氏はロイター通信に、男性が手術を必要としているとだけ明らかにした。
警察当局の広報はBBCに、「母親による一種の『監禁』が長期間、続いていたことは間違いない」、「何年なのか推定はしない。それは捜査の一部だ」などと述べた。
(英語記事 Stockholm mother ‘kept son for decades in flat’)