韓国政府は3日、格安航空会社(LCC)に追加資金支援をすることにするなど航空業支援対策を出した。洪楠基副首相兼企画財政部長官(右)と卞彰欽(ピョン・チャンフム)国土交通部長官がこの日の非常経済中央対策本部会議出席に向け移動している。キム・ボムジュン記者
韓国政府が新型コロナウイルスの感染拡大で困難に陥る格安航空会社(LCC)に対し、7-9月期まで最大2000億ウォン(約190億円)を追加支援することにした。
国土交通部は3日に開かれた非常経済中央対策本部会議でこうした内容を中心にした「航空産業新型コロナウイルス危機克服と再跳躍案」を発表した。
韓国政府は昨年の新型コロナウイルス流行後、LCCに5415億ウォンの資金を支援した。だが新型コロナウイルスが1年以上にわたり続いて旅行需要が急減し、この資金はほとんど使い果たされたという。
韓国政府は9月までのチェジュ航空、ジンエアー、ティーウェイ航空などLCCの資金不足規模が2000億ウォンに達すると予想して追加資金支援を決めた。LCC別の具体的な支援時期と規模は調査を経て決めることにした。
韓国政府は航空機取得税・財産税追加減免についても検討することにした。航空機取得税は2017年から今年まで60%減免しており、財産税はLCCにだけ50%を減免している。政府はこれとともに▽航空会社の雇用安定支援▽457億ウォン規模の空港施設使用料など減免▽無着陸国際観光飛行の多角化――なども推進することにした。
◇航空・旅行業の回復に総力戦…「トラベルパス」で出入国簡単にする
韓国政府が3日に航空業界追加支援策を出した。LCCに対する2000億ウォンの追加資金支援だけでなく需要拡大策まで盛り込まれた。政府は昨年からすでに数回にわたり航空業支援案を出して産業崩壊を防ぐのに注力している。だが現在のところは力不足だ。昨年12月の国際線旅客実績が前年同期比97%減少するなど回復の兆しは見られない。国際航空運送協会(IATA)などは航空需要が2019年水準に回復するのに2~4年かかると予想している。一部では追加構造調整を検討すべきという声も出ている。
◇航空需要拡大を推進
韓国政府は航空業と観光産業の被害を同時に減らせる政策を準備している。新型コロナウイルス防疫安全国の国民が互いに自由に往来できる「トラベルバブル」が代表的だ。トラベルバブルは新型コロナウイルス陰性が確認された人を対象に2つの国が入国禁止を解除し隔離も緩和する措置だ。企業の活動支援に向けたファーストトラックと比較して訪問目的に制限がなく観光と単純訪問などに幅広く活用できる。韓国政府はこれを年内に施行するという目標を立てた。
トラベルバブル活性化に向けた準備段階としてトラベルパスも導入することにした。新型コロナウイルスの診断検査結果とワクチン接種の有無をモバイルアプリで確認できる装置だ。トラベルバブルが認められた国が増えればトラベルパスを利用して手軽に出入国手続きを踏むことができる。
無着陸観光飛行の活性化に向けた案も出した。飛行機に乗って空港を出発して他の国の領空まで飛行し該当国には着陸せずに帰ってくる観光商品だ。いまは仁川(インチョン)空港だけから出発が可能な無着陸海外観光飛行を地方空港でも可能にする。出入国のないインバウンド国際観光飛行を導入する。海外の空港を出発して韓国上空を飛行した後に戻る方式だ。
韓国政府は大韓航空とアシアナ航空の買収合併も積極支援することにした。両社の統合に対する海外企業結合審査などの手続きを支援し、輸送権とスロット(時間当たり飛行機運航可能回数)共有が可能になるよう規制を改善する方針だ。
◇「コメが必要なのにふとんを与えるのか」
LCCをはじめとする航空業界ではこうした政府支援を歓迎しながらも資金支援時期と条件が不明確だという点に無念さを示した。航空業界関係者は「多くのLCCは1-3月期が過ぎれば保有現金がすっかりなくなる可能性が高いだけにすぐに資金支援が必要だ」と強調した。
チェジュ航空が端的な例だ。1-3月期も昨年と同水準の赤字を出すと資本金割れが発生し流動性危機に陥る見通しだ。資産査定後にLCC各社に対する支援規模を決めるという政府の立場はこうした切迫した状況を考慮できていないという批判が出ている。航空会社関係者は「寒い天気に政府が航空会社にふとんを与えたと言える。しかし食べるものがなく飢えている人にはふとんよりコメがもっと至急だ」と話した。
政策資金支援を受けるための条件が明示されていない点もLCC業界の悩みを拡大している。政府内外では有償増資と資産売却など自助策を条件に政策資金を支援する案を検討しているという。LCC業界は「有償増資など現状況で可能な自助策はすべて使ってしまった。政府がもっと果敢で積極的に企業に合わせた支援をすることを望むだけ」と話した。
昨年と同じように政府が支援に向け「負債5000億ウォン以上」などの条件を提示するかも関心だ。新型コロナウイルス前から負債を減らしてきたジンエアーとティーウェイ航空は政府支援対象から除外された。