#3.キーマンの慎(シン)ジュンホ氏
注目の人は「リトル李海珍」「LINEの父」と称されるZホールディングスのグループ・チーフ・プロダクト・オフィサー(GCPO)の慎ジュンホ氏だ。慎氏はネイバーが買収した国産検索エンジン「1noon」の最高技術責任者(CTO)だった。李氏の日本挑戦をサポートするために2008年に渡日し、2011年LINEを作って最近までLINE共同代表を務めてきた。
慎氏が統合Zホールディングスで果たす役割は、グループが出すサービスの最終決定権者だ。LINEとヤフー・ジャパンがそれぞれ出したサービスを統合して競争力を高めなければならない。プロダクト委員会にはネイバー・ソフトバンク出身者が同じ数だけ入っているが、立場が互角に分かれる場合、最終決定権は慎氏にある。日本とアジア、さらには世界に通じる製品企画と決定が慎氏の手によって下されるということだ。
#4.李海珍-孫正義の条件付き提携
ソフトバンクの投資ネットワークをLINEが活用することはできるが、既存の投資先と衝突する可能性もある。ネイバーの韓国内競争者であるクーパン(Coupang)だけみても、ソフトバンクのビジョンファンドの投資でここまでやってきた。Zホールディングスは合併の旗印として「米国GAFA〔グーグル(Google)・アップル(Apple)・フェイスブック(Facebook)・アマゾン(Amazon)〕と中国BATH〔バイドウ(百度)・アリババ(阿里巴巴)・テンセント(騰訊)・ファーウェイ(華為)〕に対抗する『第3極』のテック企業になる」を掲げた。だが、アリババはソフトバンクの最も成功的な投資社だ。LINEが3400億ウォン(約324億円)を投じて買収した日本出前・宅配企業「出前館」も、ソフトバンクの投資を受けたウーバーイーツ(Uber Eats)と日本で競合する。LINE-ヤフー・ジャパンが日本のショッピング・金融・ローカルを掌握する「スーパーアプリ」になるかどうかは、ひとまず協力したあとでネイバーとソフトバンクがどこまで同じ船に乗って進んでいけるかを見守らなくてはならない。
手を握った李海珍・孫正義…日本で同床、世界では異夢(1)