韓経:日本の大企業もあきらめたベトナム市場…韓国の中小企業が突破した


アリエックスは2016年10月にベトナム中央銀行を対象にキャッシュレス決済インフラ構築事業を提案する説明会を実施した。[写真 アリエックス]
アリエックスは2016年10月にベトナム中央銀行を対象にキャッシュレス決済インフラ構築事業を提案する説明会を実施した。[写真 アリエックス]

日本最大の通信グループNTTなど世界の主要企業が進出しようとしながら失敗が相次いだベトナム市場を韓国の中小企業が突破した。韓国の金融サービス会社アリエックスはベトナム政府から許可を受け先月から共同カード決済端末事業を始めた。現地に進出した海外企業で唯一の事例だ。

◇ベトナムに「K決済システム」構築

2013年に設立されたアリエックスはベトナムのカード決済市場の成長の可能性に目を付け、2016年にハノイに連絡事務所を開設した。ベトナムは1億人の人口と若い労働力、高い経済成長率で世界的に注目される新興市場だ。日本を含む先進国の多様な企業がベトナムの決済インフラ市場に参入するために努力する理由だ。その先陣をアリエックスが切ったのだ。韓国型VAN(付加価値通信網)モデルを採用し他の韓国企業が進出できる基盤も設けた。

アリエックスはベトナム全土に多様なカード発行銀行が共同で使用できる端末システムを構築し運営している。デビットカードやクレジットカードの決済だけでなく、モバイル決済とポイント積み立てなど各種決済付加サービスまで提供している。アリエックスのキャッシュレス決済インフラをさまざまな銀行と決済サービス提供会社が共同で利用できるという意味だ。

ベトナムはこれまで銀行がそれぞれの決済端末を設置して運営してきた。スーパーマーケットに行けばさまざまな銀行の端末がいくつも置かれた姿をよく見かける。銀行ごとに決済インフラを重複投資している格好だ。こうした構造的問題からベトナムでは加盟店拡大が進まない状況だ。新たな決済サービスが相次いで誕生しているが実際の適用にも制約が多い。

アリエックスはここに着目して共同カード決済端末事業を推進した。アリエックスが提供する端末と決済インフラを活用すれば1台の端末で複数の銀行のキャッシュレス決済が可能だ。ベトナム政府の意志も強かった。外国人観光客が急速に増加しカード決済の必要性がますます大きくなっているためだ。ここにベトナム国民の外国旅行が増えカード決済経験も蓄積されている。ベトナムの急激な経済成長と若い給与所得者増加がかみ合わさりカード決済消費者層も厚くなる流れだ。

◇「市場侵入者ではなくパートナー」

アリエックスは長期の市場調査と分析を通じベトナム政府が海外企業の短期的な事業提案よりもベトナム企業との持続的な協力とパートナーシップを望んでいるという事実を知ることになった。アリエックスのパク・ビョンゴン代表は「ベトナムの銀行の事業領域を侵さないという信頼を植え付けたことが事業承認を受けるのに有利だった。共同端末で確保した加盟店に対し特定銀行に選別的な支援をしないという原則を立てたのも市場で速く信頼を得た背景」と話した。

アリエックスは2019年にベトナム政府系銀行であるベトナム工商銀行、民間銀行のサコム銀行と契約を進めた。昨年の予想できなかった新型コロナウイルス発生により日程がずれ込んだりしたが今年初めにシステム構築を完成し3月に正式サービスを発売した。ベトナム投資開発銀行とベトナム農業農村開発銀行などに取引銀行を拡大する計画だ。

次の課題は新規加盟店開発だ。すでにベトナムの運送会社であるビナサンと契約を締結し1000台のタクシーに端末を設置した。年内に6000台まで設置端末を拡大することにした。病院、薬局、学校、ガソリンスタンド、小規模雑貨店など新規加盟店発掘にも注力している。アリエックスは今年20万台以上の共同決済端末を設置し、2025年までにベトナム全国に100万台を普及させる計画だ。



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