世界各国の政府・中央銀行が保有する外貨準備高でドル資産が占める比率が60%を下回り、25年ぶりの最低水準となった。ドル安を懸念した中国とロシアが米国国債を売り、金や別の通貨資産を買ったためという分析だ。
国際通貨基金(IMF)は8日(現地時間)、昨年末を基準に世界149カ国の外貨準備高を11兆8000億ドルと発表した。うちドル建て資産は7兆ドルだった。全体の外貨準備高でドル資産が占める比率は59%と、1年前に比べて1.7ポイント低下した。
ドル資産の比率が60%を下回ったのは1995年以来25年ぶり。ドル資産比率は2001年末に70%まで上がった後、持続的に低下している。2015年には一時的に65%線を回復したが、その後5年連続で低下した。
新型コロナに対応するための米国の大規模な拡張財政がドルの権威を落としたという分析だ。莫大な規模のドルが市中に出てくればドルの価値が落ちると予想した各国の政府・中央銀行が代替資産の比率を高めたということだ。
特に米国との関係が円満でない中国とロシアのドル資産忌避傾向が目立った。米財務省によると、中国の米国債保有残額は昨年末1兆700億ドルと、2013年に比べ20%ほど減少した。ロシア中央銀行の外貨準備高のうちドル資産が占める比率も2017年の50%から昨年9月には約20%へと急減した。トルコやブラジルなど新興国も過去数年間、米国債保有規模を持続的に減らした。
一方、ドル以外の通貨資産の比率は高まった。世界外貨準備高でユーロ資産が占める比率は21%と、6年前の水準を回復した。
日本円も6%台を回復し、20年ぶりの最高水準となった。中国が過去1年間に日本の中長期国債を2兆2000億円買い越した。中国が米ドルの比率を低める代わりに日本円の比率を高めたと分析される。
人民元の比率も初めて2%を超えた。ロシアが人民元資産の比率を2017年の0.1%から3年間で12.3%に高めた影響と解釈される。
専門家らは、ドル安が続いて各国の政府・中央銀行のドル離脱傾向が長期化するとみている。米国の「双子(財政収支と経常収支)の赤字」規模がさらに拡大すると予想されるからだ。IMFは「中央銀行が長期的に米ドルから他の資産に外貨準備高の構成を変えている」と分析した。