「韓国バッテリー」の企業価値が過大評価された? 外資系投資銀行のレポート相次ぎ登場


韓国のバッテリー
韓国のバッテリー

韓国のバッテリー企業に「真実の瞬間」が押し寄せたのか。最近外資系投資銀行を中心に「韓国バッテリーの企業価値が過大評価された」という報告書が相次いで登場している。電気自動車をはじめとする車両用バッテリーが韓国経済の柱となる「第2の半導体」になるというバラ色の見通しとは正反対だ。

◇「バッテリー新生企業登場して競争過熱」

1日のサムスンSDIの株価は前日比0.2%(1000ウォン)上がった61万6000ウォンとなった。先月31日に4%近く下落し、この日は反騰するだろうという期待感が形成されたが、強含みにとどまった。取引開始直後には株価が60万6000ウォンまで下がり、一時は60万ウォンを割り込みかねない状況だった。

サムスンSDIの株価下落には米投資銀行モルガン・スタンレーの報告書が引き金の役割をした。先月30日にモルガン・スタンレーは「新規事業者登場によりバッテリーメーカー間で競争圧力が強まっている」とし、サムスンSDIに対する投資意見は「中立」から「比重縮小」、目標株価は57万ウォンから55万ウォンに下げた。これに先立ちLG化学もクレディ・スイスの売り推奨レポートが出された直後である先月26日に時価総額が6兆ウォンほど蒸発した。クレディ・スイスはLG化学の適正株価収益率(PER)も中国CATLが45倍なのに対し半分水準の22倍と策定した。株式市場ではPERが低い会社であるほど投資魅力度が落ちる。

韓国バッテリーをターゲットとした売り推奨レポートをめぐり「韓国の証券会社が話せない真実を外資系が代わりに話している」という分析が出ている。サムスン電子やSKハイニックスのような企業3~5社の寡占体制が固まったメモリー半導体とは違い、バッテリー産業の場合は韓国企業が寡占の地位にない。むしろ電気自動車とかみ合わさりさまざまな新生企業(スタートアップ)がバッテリー市場に新たに参入している。モルガン・スタンレーもやはり「電気自動車市場は10年間に年平均20%成長するだろうが、バッテリーメーカーの収益性は競争激化でこれに満たないだろう」と診断した。

◇自動車業界で相次ぐバッテリー内在化戦略

自動車メーカーで相次いだバッテリー内在化戦略も韓国バッテリーの脅威要因に選ばれる。ドイツのフォルクスワーゲンだけでも欧州のスタートアップのノースボルトと今後10年間で140億ドル相当のバッテリーセル(バッテリーの基本単位)契約を締結した。テスラ役員を務めたピーター・カールソン氏が2016年に設立したノースボルトは、スウェーデンとドイツにそれぞれ4000万キロワット時規模のバッテリー工場を建設している。フォルクスワーゲンはノースボルトのバッテリー開発・設計段階から直接参加する。事実上の垂直系列化戦略で、LGとSKが供給した薄膜形態のパウチ型バッテリーの割合はフォルクスワーゲンでは相当部分が縮小される。

自動車メーカーが韓国バッテリーの代替品を探す理由はコスト競争力の側面が大きい。自動車メーカーの立場では、電気自動車の原価のうち30~40%に達するバッテリーの割合を引き下げることが急務であるためだ。例えばテスラが使う同じ円筒形バッテリーでもLG製品は中国CATLに比べ約20%単価が高い。サムスンSDIも収益性中心の戦略次元から、バッテリー競争入札で他の企業より高い単価を提示するという。

テスラは昨年からCATLからバッテリーの供給を受けており、現代自動車も今後中国企業が生産したバッテリーの使用比率を増やす計画だ。市場調査会社SNEリサーチはこの日、「CATLをはじめとする中国系企業の欧州市場進出が本格化し、今後世界の競争環境がさらに激しくなり加熱するだろう。韓国3社は成長戦略の再整備が重要な課題になった」と予想する。

◇韓国証券業界、「多少過度な分析」

ただ、韓国の投資業界ではモルガン・スタンレーの報告書に対し反論も出ている。ハナ金融投資のキム・ヒョンス研究員は、「新生バッテリー企業の参入、自動車メーカーの内在化戦略などが5年以内に韓国のバッテリー企業に実質的な脅威として浮上する可能性は少ない。均一な品質を担保し大量量産をするまでは相当な時間と資本が必要なため」と分析した。個人投資家の間で人気があるeベスト投資証券のヨム・スンファン部長はユーチューブ配信を通じ「韓国のバッテリー企業の収益性が低いという分析には同意するが、その理由だけで売り推奨レポートまで書くのは無理だと考える」と明らかにした。



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