「輸出が善戦しているが下半期に成長の勢いが失速するのでこれに備えよ」。
韓国国策研究院が最近の輸出好調に対して「期待以上の成果」としながらも緊張を緩めてはいけないという診断を下した。ポスト新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)時代のグローバル交易構造に先制対応するためには輸出品目の構造を変え、産業競争力を強化しなければならないという内容だ。産業研究院が16日に出した報告書「最近のわが国の輸出好調の背景と示唆点」でだ。
産業通商資源部によると、今年1~5月の輸出額は前年同期比23.4%増加した2484億ドル(約27兆3411億円)を記録した。半導体「スーパーサイクル」特需の恩恵を受けた2018年を超える歴代最高実績だ。半導体・石油化学・自動車など上位3品目の輸出増加の寄与率が40%以上だった。報告書は「昨年の景気低迷による反騰効果を考慮しても最近の輸出は期待以上の成果を出した」と評価した。
報告書は輸出が巡航している背景として(1)新型コロナ景気低迷から抜け出してグローバル景気が回復したことに伴う反騰効果(2)非対面経済の活性化で韓国が強い情報技術(IT)産業恩恵(3)環境に対する関心向上でエコカー、エコ船舶などの輸出品目の反射的利益(4)バイオヘルス・二次電池など新成長品目の成長可視化を挙げた。
ただし、下半期には輸出増加率がやや鈍化すると予想した。昨年末から可視化した輸出回復傾向に伴う基底効果(比較対象数値が極端に低いか高く現れる統計の錯視現象)、非対面恩恵品目の需要鈍化、欧州と新興国における新型コロナ再拡大、インフレーション懸念によるマクロ政策の基調変化などの不確実性を理由に挙げた。
輸出好調を継続するには「ポスト新型コロナ」対策を用意しなければなければならないと忠告した。報告書は「IT・バイオヘルス・二次電池など技術集約型産業に対する投資を拡大し、輸出品目を多角化して新産業を育てなければならない」とし「システム半導体、OLED、エコカー、LNG船舶などの競争がさらに激化する高付加価値輸出品目を先行獲得しなければならない」と助言した。
保護主義貿易の強化など不利な交易環境で輸出を伸ばすための政策的努力も必要だと強調した。報告書は「対内的に規制緩和、支援強化など輸出奨励策を講じ、対外的に米中貿易紛争深化の可能性に備えた政治・経済対応シナリオを用意しなければならない」と助言した。