「災難支援金は所得下位80%まで、クレジットカードの使用額を増やした分はポイントで、新型コロナで被害を受けた自営業者には最大900万ウォン(約88万円)」。
韓国政府が新型コロナ拡大以降6回目として編成した補正予算案の核心だ。企画財政部は1日、臨時国務会議で上記の内容を含む33兆ウォン規模の第2次補正予算案を議決したと明らかにした。与党・共に民主党は7月に国会で補正予算案を処理し、自営業者被害支援金は8月に、災難支援金は9月初めまでに執行する計画だ。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は「追加税収31兆5000億ウォンなどの財源を活用し、国債を発行せず、歳出増額を基準に歴代最大規模で編成した」と説明した。
具体的に新型コロナ被害支援のための3種パッケージ(災難支援金、小商工人支援、クレジットカードキャッシュバック)に15兆7000億ウォンを投入する。災難支援金の給付対象は所得下位80%。昨年の第1次全国民災難支援金(1世帯あたり最大100万ウォン)とは違い、1人あたり25万ずつ給付する。基礎生活保障受給者など低所得層約300万人には10万ウォンを追加する。
営業制限・禁止など行政命令を受けたり行政命令対象ではないが新型コロナ被害が大きい経営危機業種など113万人には最大900万ウォンの「希望回復資金」を給付する。3月の第4次災難支援金支給当時、これら業種に100万-500万ウォンずつ給付したが、上限ラインを400万ウォン引き上げた。また4-6月期の信用・チェックカード使用額より7-9月期により多く使った金額の10%(最大30万ウォン)を払い戻す。
このほか▼今年中に1億9200万回分の新型コロナワクチンを確保して最大4700万人(全国民の90%)まで接種できるよう支援するなどワクチン防疫の補強に4兆4000億ウォン▼新規雇用創出、職業訓練、雇用維持支援金特例期間の延長、実業系高校生・専門大学生の資格取得費支援など雇用・民生安定分野に2兆6000億ウォン▼地域商品券と農林水産物クーポン追加発行など12兆6000億ウォンが含まれた。
「選別給付」で包装したが、与党の説明のように「事実上の全国民災難支援」レベルだ。無料でないだけに効果と財政負担、公平性をめぐ問題が課題として残った。まず災難支援金の景気浮揚効果が争点だ。韓国開発研究院(KDI)は昨年5月、全国民第1次支援金(14兆ウォン)のうち消費増大につながった効果が支援金の30%前後にすぎなかったと分析した。過度な政府支出が民間を萎縮させる「クラウディングアウト効果」も懸念される。韓国銀行(韓銀)が下半期の利上げを予告しただけに財政投入が物価や市場金利の上昇につながるという憂慮の声もある。
漢城大のキム・サンボン経済学科教授は「超過税収で財源を確保したとはいえ、結局は民間が納めた税金であるため、市場での投資・雇用が減る可能性がある」とし「景気回復期の財政支出は財政乗数(財政支出が経済成長に寄与する効果)も低い」と指摘した。
急増した国家負債も負担だ。政府は負債を増やさないと強調したが、返済に充てるべき資金を投入するのと変わらない。国家債務は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直前の2016年の626兆9000億ウォンからは昨年は846兆9000億ウォンへと35.1%増えた。文大統領が拡張財政基調を強調しただけに今年末の国家債務は1000兆ウォンに迫る可能性がある。
仁川大のオク・ドンソク経済学科教授(元韓国租税財政研究院長)は「国家財政法上、超過税収は国家債務の償還に先に充てるべきだが、新型コロナを理由に後回しになった」とし「類例のない少子高齢化による福祉負担を考慮すれば、先進国のように財政赤字を減らすための『出口戦略』を用意する必要がある」と助言した。
「所得下位80%」基準について公平性をめぐる論争もある。檀国大の金兌基(キム・テギ)経済学科教授は「新型コロナ発生から1年以上が経過し、災難支援金の給付も繰り返されているが、依然として職場・地域加入者間の差など論争がある健康保険料を基準に切り『オール・オア・ナッシング(all or nothing)』方式で給付するのは納得しがたい」とし「所得や営業利益の減少幅など被害額に比例した詳細・差別支給基準を作って給付する必要がある」と述べた。