釜山(プサン)港を出発する商船 [写真 SM商船]
現代重工業労働組合が6日から全面ストライキに入り、造船業界に緊張感が漂っている。長い沈滞期を経て最近回復中の造船業景気が労使の対立でつまずくのではという懸念のためだ。現代重労働組合は6日午前8時から蔚山(ウルサン)本社の高さ40メートルのクレーンを占拠中で、ストを9日まで続ける計画だ。
現代重労働組合によると、労働組合の全面ストは2019-2020年賃金交渉および団体協約決裂のためだという。現代重労働組合は2019年5月に賃金協議に入ったが、2年2カ月が経過した現在まで終わっていない。現代重労働組合の今回のストは、会社の法人分割があった2019年6月以来3年ぶりで、特にクレーン占拠は2004年以来17年ぶり。
現代重労働組合の全面ストを眺める造船業界は複雑な思いだ。長期沈滞で業績不振が続いた会社と賃上げを要求する労働組合の葛藤が「他人事」でない。造船業は2000年に世界トップとなった後、国内全体輸出額の10%を占めるほど輸出主力業種だった。しかし2008年のグローバル金融危機の余波で物流量が減少し、造船業も直撃弾を受けた。
さらに2014年には原油価格が急落し、船舶の代わりに集中していた海洋プラントの需要までが急減し、造船業界は深刻な不振に直面した。しかし最近は新型コロナ収束への期待感から貿易量が増え、原油価格も上昇し、ようやく造船業界にも活気が戻り始めていた。
英国造船海運市況専門機関クラークソンリサーチによると、先月の世界船舶受注は415万CGT(131隻)で、韓国が全体受注の44%の182万CGT(40隻)を占めて1位になった。中国が157万CGT(63隻、38%)で2位、日本が30万CGT(14隻、7%)で3位。今年上半期の業績も好調だ。韓国は前年同期比7倍増の1047万CGTを受注した。中国より12万CGT少ない。12万CGTは1万5000TEU級コンテナ船2隻に該当する規模で、下半期に逆転できると業界はみている。
造船業界は受注に注力すべき状況で労使の対立が生産に支障をきたすのではと懸念している。匿名を求めた業界関係者は「雰囲気が良くなっているというが、船舶の建造に1、2年かかる業界の特性上、現在の受注効果は来年末から表れる。労働組合の立場では長期沈滞を耐えてきただけに隔たりを埋めるのは容易でないだろう」と話した。
労使の対立のほか、原材料価格の上昇も造船業界の負担となっている。特に厚板(船舶に使用される厚さ6ミリ以上の鉄板)価格の上昇が変数となる。造船企業が現在建造中の船舶は2年前の受注分だ。当時の厚板価格を基準に受注額を決めただけに、船舶の建造中に厚板価格が上がれば収益性が落ちるしかない。
鉄鋼業界は昨年7月に1トンあたり66万ウォンだった厚板流通価格を1年間に倍の130万ウォンに引き上げた。今年上半期にも厚板価格が1トンあたり10万ウォン(約1万円)引き上げられたが、下半期にも追加の上昇が予想される。鉄鋼業界は、厚板の原材料となる鉄鉱石の価格上昇で厚板価格の上昇が避けられないという立場だ。鉄鉱石価格(7月初め)は年初より34%上昇した1トンあたり261ドル(約29万ウォン)。
鉄鋼業界の関係者は「造船企業の経営環境を考慮して赤字条件も受け入れてきたし、値上げもできる限り自制してきた」とし「今年上半期にコスト上昇分を反映して小幅引き上げたのに続き、下半期にも最小限のコスト上昇分とグローバル市場環境を反映した価格交渉を進めている」と伝えた。