コロナワクチン3回目接種について説明する高島宗一郎市長
福岡市の高島宗一郎市長は、再開発促進事業「天神ビッグバン」やスタートアップ支援など都市を成長させる政策に力を入れてきました。新型コロナウイルスの感染症対策では、苦境にあえぐ事業者への家賃支援やワクチンの独自優先接種や夜間接種などいち早く取り組み、全国から注目されています。高島氏は日々、何を発言し、記者たちとどうやりとりしているのか。福岡市政を担当する記者が記者会見で捉えた「高島流」を解説します。
【グラフ】福岡の感染者数の推移
2022年1月18日午後1時
報道陣に公開された博多区役所新庁舎を会場に始まった定例記者会見でしたが、福岡県内の新規感染者数も相次ぎ過去最多を更新。政府は1都12県を対象に「まん延防止等重点措置」を追加適用する方向です。この日も質問は新型コロナに集中しました。その中で高島宗一郎市長が強調したのは「まん延防止の措置は何のためにするのか」。
その真意は何なのでしょうか。(構成:塩入雄一郎、竹中謙輔)
<記者:福岡県に「まん延防止等重点措置」は適用されていないが、会食などを自粛する会社が出てきています。飲食店の経営が厳しいといった声も聞かれます。福岡市としてどういった支援を考えていますか。>
市長:まん延防止の措置は何のためにするのか。要するに、夜の営業時間を短くするといった措置です。
デルタ株からオミクロン株に代わった今、夜8時以降ないしは9時以降に飲食店に行かなければ感染が止められるかというと、そうではありません。夜の飲食だけやめれば感染が防げるといった状況ではありません。
重症化しないオミクロン株で制限をどこまでするか、議論になるところです。全国的な感染拡大を受けて、企業などは夜の会食を当面しないようにと自主的に言い出しているようです。実際に福岡の夜の飲食店も厳しいと聞きます。
飲食店で働く皆さんには、まん延防止措置が出ないために支援金が入らず大変だという方がいる一方、まん延防止の支援金では少なすぎて逆にマイナスになるという方もいます。
何ができるのか。これから状況がどうなるかを見ながらですが、行政に言われなくてもみんながそれぞれに気を付ける方が、行政が上から私権制限をするよりも望ましい。
ただ、今は飲食店をはじめ経済的に苦しくなる方たちのケアを考える時期です。例えば、これまで税金の支払い猶予があったがもう支払わないといけない方。もしくは借り入れ、融資の返済時期が始まる方など。こういったことが重なって経済的に厳しいと伺っています。
全国的にも同じ。まん延防止措置になっていない地方のエリアは同じ状況です。そうしたところの対応策を、まずは国の方で考えてもらいたい。福岡県全体としても行政間で何ができるかを考えていきたいです。