「大放送事故ですよ!」辛坊治郎が憤怒する、平野歩夢“サブチャンネル切り替え”の酷さ


【画像】デジタルテレビ放送方式の世界分布図で見る、日本方式のシェアの低さ

「大放送事故ですよ!」辛坊治郎が憤怒する、平野歩夢“サブチャンネル切り替え”の酷さ

【北京五輪2022】<男子スノーボードハーフパイプ決勝>優勝を決め、笑顔を見せた平野歩夢=2022年2月11日、雲頂スキー公園 写真提供:産経新聞社

辛坊)私はこれが大ニュースになっていないことが不思議でしようがない! 私の感覚からすると、これは大事故ですよ。大事故です。職を失う人が出るのは私は好まないのでクビにしろとまでは言いませんけれども、これで担当職員を処分しないNHKは異常だと思いますよ。そのぐらいのレベルのひどさ。本当にひどい。

増山)はい。

辛坊)で、背景に何があるかというと、背景はすごく複雑で、実はNHKが郵政省とタッグを組んで日本のデジタルテレビというものの方式を決めたんですよ。で、「ガラパゴス」と携帯電話の方式などでよく言うではないですか。NHKが決めた日本のデジタルテレビの方式というのは、あれと同じなんです。NHKは世界に先駆けて「1080i」という高画質のハイビジョンのテレビを開発して、これをデジタル方式(※編集部注:「地上デジタルテレビ放送日本方式 ISDB-T」)にして全世界でこの方式を使ってもらいたいということで売り込んだのだけど、採用したのが、アジアの近県でたぶんフィリピンぐらいだと思います。あと南米がわりと日本の外務省とたぶん政治的に関係があったので、南米はわりと普及しているのですが、北米はアメリカ方式。北米全域アメリカ方式で、ヨーロッパからアジアの広大な地域はヨーロッパ方式。結局NHKが開発したあのデジタルテレビはごく一部の国でしか普及しなかったんですよ。

だけど、この日本が開発したごく一部のテレビ方式のいいところは「マルチチャンネル」というシステム。ここはちょっとややこしい話なのですが、各テレビ局には「電波の幅」というのが1チャンネルずつ与えられているのですね。

増山)ええ。

辛坊)「電波の幅」というのがあって、いわば土管の太さみたいなものなのですね。これが、幅が広ければいっぱい情報量を送れるし幅が小さければ少ない情報量しか送れないのですが、日本は基本的にだいたいざっと「6MHz」という言い方をするのですが、「6MHz」というサイズの土管だと思ってください。

増山)はい。

辛坊)そして、基本的にアメリカ方式やヨーロッパ方式ではこの土管のなかで1つのチャンネルしか流せないのだけれど、日本方式はこの土管のなかを細いパイプにブンブン分けることができて、そこで別々のチャンネルを流すことができる。ハイビジョン(の画質)なら1チャンネルなのだけど基本は、昔のアナログ時代のテレビの画質でよければ3チャンネル放送できますよ、という方式をNHKが率先して作ったのですよ。

増山)はい。

辛坊)だからNHKとしては、いわゆるサブチャンネル……「1つのチャンネルなのだけど、いくつも放送できますよ」というところが、もともとの売りだったんですよ。だからこれを使いたくてしょうがないんです。

増山)はい。

辛坊)で、民放もやろうと思ったらできる。例えばいま、8チャンネルなら8チャンネルでひとつ番組やっていますよね。これ、画質を落とせば、8チャンネルだけで3つの番組を放送できるんです。

増山)やろうと思えばできるのですね。

辛坊)やろうと思えば3つできるのですけど、やらないですよね。なぜやらないかというと、3つもコンテンツ、そんなに番組を作れないし、それぞれに同じだけスポンサーがついてくれて儲かるならやるけれども、そういうわけにもいかない。

増山)そうですね、難しいですね。

辛坊)だから民放は、ハイビジョン1チャンネルだけ放送しておこうと思うわけです。これがもしアメリカ方式やヨーロッパ方式で1チャンネルしか放送できない状況のテレビ番組だったら、NHKは平野歩夢選手の金メダルのかかった最終滑走の直前に番組を止めないでしょう、普通。そのまま滑走が終わるまで放送し続けるだろう!

増山)そうですね。

辛坊)ところがNHKは自社が開発した「サブチャンネル」というものが使えるテレビを開発してしまったので、だからまあ、いわば自慢のしどころではないですか。

増山)ここぞとばかりに使ったと。気づくともう「サブチャンネル」で。



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