児童に対する「いじめ」で男性教師を懲戒処分
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その児童は、衣服が濡れた状態で、教室に戻ってきたそうだ。周りから見ても、それは涙の跡だと分かったとのこと。それほど広い範囲が濡れていたという。ただ、このクラスでは、同じような光景が、度々、繰り返されていた。
【画像】教師による特定児童に対する「いじめ」の数々とは(画像4枚)
3月25日、横浜市教育委員会は、46歳の男性教師による、特定の児童に対する「いじめ」があったと発表した。男性教師は懲戒処分(退職金手当全額不支給)となった。発表で明らかにされたのは、執拗で、驚きの「いじめ」の数々だった。
児童4人にだけ「給食を減らす」
男性教師は、2020年4月から、横浜市内の公立小学校で、4年生のクラスを受け持った。そして、その年の9月ごろ、クラスの中の児童4人の給食の量が、明らかに少なくなったという。男性教師は、給食当番の児童に指示し、4人の給食の量をわざと少なく盛り付けさせていた。
時には、男性教師が自ら配膳することもあったそうだ。その「給食いじめ」は数ヶ月も続いたという。児童の一人は、聴き取り調査に対して「お米の量、本当に一口ぐらいしかもらえなかった」と証言。また、ある児童は、給食の量が減らされた理由を聞けば、「さらに減らされると思って」、何も言えなかったという。
また男性教師は、クラスの中で、この4人にだけ、頻繁に、配布物やプリントを渡さないこともあったという。さらに、4人のうち3人にはテスト用紙を配らず、テストを受けさせず。2人には、わざとタブレットやパソコンを使わせず、”差別的扱い”を繰り返していた。
狙われた児童A 執拗な叱責
標的とされた4人の中で、最も酷い目に遭ったのは児童Aだった。男性教師が、Aを教室の外に連れ出し、叱る場面が、何度もあったそうだ。長い時はおよそ1時間も。その間、このクラスは自習やテストをさせられ、誰も外に出られないよう、教室のカギもかけられていた。やっと解放されたAの衣服は涙で濡れていたそうだ。
Aが、テストの直しを「提出した」と主張しても、男性教師は聞き入れなかった。そして同級生が別のテストを受けている横で、45分間に渡って、”テストの直し”を探し続けさせたという。見つかる訳もないのに、Aは、何度も何度も、カバンの中や、引き出しの中を探していたに違いない。テストが終わると、男性教師はAに向かって「いつまで探しているんですか」と叱責したそうだ。
男性教師「感情抑えられず、憤りのまま」
結局、2021年3月、不登校になった児童の保護者が学校に訴え出て、一連の行為が発覚。教育委員会が乗り出して、調査に着手し、「圧倒的な力関係にある教職員が、心理的な虐待、いじめを行ったもので極めて悪質」と認定した。
男性教師は聞き取りに対して「感情を抑えられず憤りのままに行動した」「一人の生徒が叱責されている姿を見せることで、他の児童に抑止効果があると信じていた」と話しているという。しかし、同級生の中には、友達がいじめを受けているのに「何もできなかった」と自責の念を抱く子どももいたという。
社会部