お父さんに「性別を変えたい」と打ち明けられたら…トランスジェンダーの父と家族の物語


お父さんに「性別を変えたい」と打ち明けられたら…トランスジェンダーの父と家族の物語

今西千尋さんと家族

【映像】テレメンタリー「パパがある日女性に」

お父さんに「性別を変えたい」と打ち明けられたら…トランスジェンダーの父と家族の物語

中学時代の千尋さん

 「LGBT」や「性同一性障害」といった言葉がほとんど認知されていなかった時代。違和感の正体は分からず、誰にも相談できないまま学生時代を過ごした。「今やったらそういう生き方を選択できるけど、生きていくための選択肢が無かったから、やっぱり隠すっていうことを選んでしまったのかな」。26歳で実家の鉄工所に入社。その後、知人の紹介で知り合った博子さんと結婚、2人の子宝にも恵まれた。

お父さんに「性別を変えたい」と打ち明けられたら…トランスジェンダーの父と家族の物語

結婚式での千尋さんと博子さん

 次第に千尋さんは、博子さんや子どもたちの前で女性の姿を見せるようになる。「旅行とか行ったときに、知らない人に見られる感じがちょっと嫌ではありましたね。僕らも見てて、“ああ、きついな”という時はありました」(竜太さん)、「“この人お父さんです”というのが怖くなってきて…。嫌な目で見られるのが怖かったんだと思います」(奏絵さん)。

 次第に家族との心の距離が広がり、千尋さんは家を出ることになった。

■首に紐を掛けた瞬間…

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千尋さん

 孤独感を深めていった千尋さん。深夜、誰もいなくなった会社の倉庫へ独り向かった。「“やっぱりだめよな、ここで女性として生きるのは”と。これはもう無理や、自らの命を絶たなあかんと。覚悟を決めて、首に掛けたら締まるような結び方をして、ちょうど掛けて…。その瞬間ですかね。朝の3時ですよ?博子さんから電話がかかってきたんですよ…」。



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