
出題範囲の変更を予告した
「一般選抜の数学科目から『数学3』を削除」
2023年2月に入試(一般選抜)を行う東海大学医学部医学科の入試情報が4月下旬に公開されると、ネット上には衝撃が走った。
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従来は数学の試験に含まれていた数学3が出題範囲から外れることが明らかになり、「(受験しやすくなり)競争倍率は200倍超えるんじゃないか」「文系でも受験できる」「(数学の試験問題が)難化しそう」などと憶測が飛び交い、話題となった。
高校の数学3は、主に理系の生徒が履修する。学習範囲は「導関数」と呼ばれる微分法や、「不定積分」などを含む積分法など。文部科学省は「事象を数学的に表現・処理したりする技能を身につける」科目だとしている。
一体なぜ、数学3は有名大の医学部医学科の入試から消えるのか。
ハフポスト日本版は東海大学の入試担当者に、出題範囲を変更した背景やねらいを尋ねた。【金春喜 / ハフポスト日本版】
志願者3割減の衝撃
大胆な決断の裏側には、2022年2月に実施した入試(一般選抜)でみられた志願者の大幅な減少への危機感があった。
定員60人の一般選抜に志願した受験生は2331人。志願者が3286人だった前年と比べて、3割も急減した。繰り上げ合格者を含めて102人が合格し、受験者数に対する競争倍率は19.7倍と相変わらず狭き門だったが、22.1倍だった前年と比べると低下した。
「医学科の人気がピークを過ぎ、医師を目指す受験生が減っている時代ですが、他大学と比べても志願者の減少が際立つ結果となりました。
このまま競争率が下がれば、大学求めている学力に届かなくても入学できるようになるかもしれません。入学後の学修について行けず、留年や退学につながる恐れもあると懸念しました」
大学では、志願者が減った原因を分析し、複数の他大学と入試日程が重複しただけでなく、かねてより予備校関係者に指摘されることの多かった数学の難易度の高さが、敬遠につながったと推測した。
そこで、数学の出題範囲を狭める「改革」に踏み切った。対策しなければならない範囲を減らすことで、受験生の「心理的な負担」を軽減し、出願のハードルを下げるねらいがあるという。