
阿武町役場(19日午前9時16分、山口県阿武町で)
山口県阿武町が誤って振り込んだ給付金4630万円が、全額出金されたとされる事件で、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕された無職田口翔容疑者(24)が振り込み当日、いったん返還に応じる姿勢を見せながら、町職員と一緒に訪れた銀行支店で「今日は手続きしない。公文書を郵送してくれ」と態度を一変させていたことがわかった。同県警が経緯を調べている。
【図表】4630万円誤送金、逮捕までの経緯
田口容疑者は、誤給付と知りながら自分の金を装って決済代行業者の口座に400万円を振り替えたとして18日に逮捕された。
町によると、職員が4月6日、新型コロナウイルス対策関連の給付金10万円の支給対象463世帯分のデータを作った際、名簿の一番上にあった田口容疑者に全世帯分を振り込む内容の誤った依頼書を作り、銀行に提出した。同8日、田口容疑者の口座に4630万円が振り込まれ、銀行が気づいて町に連絡した。
町が同日、返還を求めると、田口容疑者は応じるそぶりを見せたため、町職員2人と車で約70キロ離れた振込先の銀行支店に向かった。だが、支店に到着後、返還を拒み、その後、連絡が取れないことが多くなったという。同21日には町職員に「金はもう戻せない。罪は償う」などと話した。
田口容疑者は2020年秋、町の移住・定住促進制度を利用して山口市から移住していた。県警の調べに容疑を認め、「ネットカジノで使うために振り替えた」と供述している。