日本など各国国旗が塗装された独空軍の戦闘機「ユーロファイター」(独空軍提供・時事)
【ベルリン時事】ドイツ空軍は15日から、日本、オーストラリア、韓国、シンガポールといったインド太平洋諸国に、戦闘機「ユーロファイター」6機を含む軍用機を初めて派遣し、合同演習などを行う。
【写真】給油機A330MRTT
アジアの民主主義国との軍事的関係を深める一方、覇権主義を強める中国をけん制する方針だ。
ドイツ海軍は昨年、フリゲート艦を日本近海をはじめインド太平洋に派遣し、北朝鮮による洋上での物資積み替え「瀬取り」の監視活動にも参加した。今年は戦闘機の派遣で、アジアへの関与継続を示す。ゲアハルツ空軍総監は、第2次大戦後の独空軍にとって「これまでで最大規模の派遣計画」と述べている。一方、中国に「威嚇的なシグナル」を送るわけではないと、過度な刺激を控える姿勢も見せた。
投入するのは、ユーロファイターのほか、輸送機A400Mが4機、給油機A330MRTTが3機。空中給油を活用し、ドイツからアジアまでの迅速な移動が可能なことを示す。
豪軍によると、豪州では19日から、日本を含め17カ国が参加する合同演習「ピッチブラック」が約3週間行われる。独軍もこれに参加する。
日本には9月28~30日、ユーロファイター3機などが訪れ航空自衛隊と共同飛行を実施。ゲアハルツ氏が防衛省と防衛協力を協議する。ドイツには10月初旬に帰還する。
ドイツは2020年、インド太平洋での外交指針を策定。対中偏重を修正し、他のアジア諸国との関係を強化する方針を表明した。昨年12月に就任したショルツ首相もこうした姿勢をさらに強め、今年4月には就任後初のアジア外遊先として、日本を訪問した。