マスク氏、世界一の資産家から転落 テスラ株下落が原因
米富豪イーロン・マスク氏が、世界一の資産家ではなくなった。経営する電気自動車「テスラ」株の価値が下がったため。
経済誌フォーブスとブルームバーグによると、高級ブランドを手掛ける「ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)」のベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)が、マスク氏を抜いて総資産額1位となった。
フォーブスは、アルノー氏の総資産額は1880億ドル(約25兆5000億円)、マスク氏は1780億ドル(24兆1000億円)と報じている。
マスク氏はテスラのCEOであり、筆頭株主として14%株を保有しているとされる。また、今年10月には、440億ドルで米ソーシャルメディア大手「ツイッター」を買収した。
ツイッター買収は、数カ月にわたる法的な争いの末に完了したばかり。これが、テスラの株価下落の一因だと指摘する声もある。
マスク氏は今年に入ってからツイッター株を買い増し、4月に440億ドルの買収案を提示した。当時は、この買収額は高すぎると言われていた。
しかし7月、マスク氏ツイッター内の偽アカウントの数などに懸念を示し、買収案を撤回。ツイッターの当時の経営陣は法的手段で買収続行を求めた。
投資会社ウェドブッシュ・セキュリティーズのダン・アイヴズ氏は、ツイッター買収をめぐる「大騒ぎ」が、テスラの株価に影響を与えたと指摘した。
「マスク氏がツイートするたびにオーバーハング(大株主が大量に株を売り出すかもしれないという懸念から、株価の上昇が抑えられる現象)が高まり、ウォール街では、テスラの株にとってのスーパーヒーローから悪役になってしまった」
「ツイッター騒動がマスク氏のブランドを傷つけ、テスラ株に大きなオーバーハングを与えた。マスクはテスラであり、テスラはマスクなので」
マスク氏は実際、ツイッター買収に向けて数十億ドル相当のテスラ株を売却し、株価下落を加速させた。
投資家はまた、経済の低迷や借入コストの上昇、他社の電気自動車販売台数の増加などで、テスラ車の需要が鈍化することを懸念している。
テスラはさらに、リコールに加え、衝突事故や自動運転機能に関する政府の調査にも見舞われている。
(英語記事 Elon Musk no longer world’s richest man)
(c) BBC News