危機的なドイツ軍、8日間の演習で参加した歩兵戦闘車が全て故障

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ドイツ連邦軍の極秘報告書を入手した現地紙は「目に余るような軍の脆弱性を明かしている」と報じていたが、今度はSpiegel紙が「8日間の演習に参加した18輌の歩兵戦闘車が全て故障した」と報じて注目を集めている。

2023年にNATOの高高度即応統合任務部隊の役割が今回演習に参加した第37装甲擲弾兵旅団に回ってくるため事態は深刻だ

ドイツ連邦軍の作戦準備に関する極秘報告書を入手したSüddeutsche Zeitung(SZ)紙は今月13日、目に余るような軍の脆弱性を明かしていると指摘して「ドイツはNATOの義務を果たすことが困難だ」と報じており、ドイツはリトアニアに約3,000人規模の戦闘旅団を派遣したが、砲兵装備の不足(稼働状態だったPzH2000をウクライナに提供したのが原因)しているため旅団は自前の火力支援=砲兵部隊なしに派遣され、今のところ不足する大砲をカバーするための装備はどこにも見当たらないらしい。

危機的なドイツ軍、8日間の演習で参加した歩兵戦闘車が全て故障

出典:Bundeswehr / CC BY 2.0

さらに防空システムの不足からリトアニアの防空任務もパスする必要があり、スロバキアに派遣したパトリオットシステムはアップグレードを受けるため2023年末までにドイツに戻さなければならず、これをカバーするための代案を検討している最中で、海軍は国連やEUの海上ミッションに派遣する艦艇の用意が間に合うか微妙な状況で、空軍は旧式のレーダーシステム、無線機、ソフトウェアが足を引っ張り「2023年以降の領空保護が提供できるかも怪しい」とSZ紙は報じていたが、今度はSpiegel紙が「8日間の演習に参加した18輌の歩兵戦闘車が全て故障した」と報じて注目を集めている。

ドイツ連邦軍の第10装甲師団のフォン・バトラー司令官はランブレヒト国防相に宛てた書簡の中で「Leopard2とPumaがニーダーザクセン州ミュンスターで実施した8日間の演習でPumaの作戦準備が0になった=18輌全てが故障した」と明かし、最後まで動いていた2輌のPumaも砲塔の故障で最終的に動かなくなり「搭載された電子機器は砲撃や走行中の衝撃の影響を受けやすく、あるPumaの運転席ではケーブルから出火した」と指摘しているらしい。

危機的なドイツ軍、8日間の演習で参加した歩兵戦闘車が全て故障

出典:Boevaya mashina/CC BY-SA 3.0

陸軍の中でPumaの不具合はよく知られた問題だが「これほどの頻度で不具合が生じたことはない、今回故障したPumaを作戦準備が整った状態に戻すのに3ヶ月~4ヶ月はかかるだろう」とフォン・バトラー司令官は書簡の中で述べているが、2023年にNATOの高高度即応統合任務部隊(VTJF)の役割が今回演習に参加した第10装甲師団の第37装甲擲弾兵旅団に回ってくるため事態は深刻だ。

ドイツが開発したPumaは複雑なメンテナンスとスペアパーツ不足の影響で稼働率は恐ろしほど低く、軍はPumaを装備する部隊に対して「問題の解決策を考案して革新的な訓練機会を創造しろ」と指示、そのため兵士は乗用車をPumaに見立てて訓練を行っており、現地メディアは「車を運転する兵士はPumaを操縦していると思い込む必要があり、車に乗り込む兵士達はPumaから降車すると思い込む必要がある」と皮肉っている。

危機的なドイツ軍、8日間の演習で参加した歩兵戦闘車が全て故障

出典:Dirk Vorderstraße/CC BY 2.0

さらにPumaの電子機器やソフトウェアは頻繁にクラッシュするため長距離を移動したり、敵と交戦する任務に投入するにはリスクが高く、暗号化された音声やデーターを高速でやり取りするための通信機が装備されていないため「前線で交信を行えば高い確率で交信内容を傍受される」と失笑されており、特に通信速度が低速(帯域幅が狭い)なため無人機や友軍と情報共有が当たり前の時代に性能が追いついていない。

国防省も2020年に同問題を認識しており、VTJFに参加する第37装甲擲弾兵旅団向けのPumaを最優先でアップグレードしたのだが、今回故障したPumaはこのアップグレードモデルなのでフォン・バトラー司令官は「アップグレードの内容には大きな問題がある」と指摘しており、国防省の担当者も「直ぐに専門家と調査を行って2023年1月1日からの義務を果たせるようにする」と明かし「既に防衛産業界のチームを編成してサポートを受け始めている」と付け加えている。

危機的なドイツ軍、8日間の演習で参加した歩兵戦闘車が全て故障

出典:Bundeswehr/Maximilian Schulz

この問題はドイツ軍の現場や防衛産業界の問題というより、ドイツ連邦軍調達局(BAAINBw)の非効率的で矛盾に満ちた調達アプローチに原因があって、必要な装備調達やアップグレードを実施するための資金があってもBAAINBwが予算執行までに信じられないほど時間をかけるため、ようやく実行に移されたときには時代遅れになっているか、別の問題が発生しているか、新たに設けた規則に引っかかって追加の改修を必要とするのかのどれかで、BAAINBwの行き過ぎた官僚主義がドイツ軍の能力を妨げているらしい。

例えばオーストリア人の兵士はアフガニスタンで道端に停車したままのIFVを不思議に思い「どうして使用しないのか」と尋ねたが、ドイツ軍兵士は「エンジンのコンピューター制御に問題があってドイツの排ガス規制をクリアしていない」と回答、要するにBAAINBwは軍が必要とする能力を素早く届けるために働いているのではなく「徹底的な法令遵守」と「調達過程の訴訟からBAAINBwを守る」ためだけに働いているのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Dirk Vorderstraße/CC BY 2.0

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