ウクライナ南部マリウポリの衛星画像の比較。3月29日(上)よりも11月30日(下)は墓地が増えている=AP
【ジュネーブ=森井雄一】AP通信は22日、ロシアのウクライナ侵略で壊滅状態になった南部マリウポリ周辺で3~12月にかけて、少なくとも1万300基の墓が新たに作られたとの分析結果を報じた。衛星やドローンの画像などを活用し、地面が掘り返された場所を詳しく調べた。
【表】一目でわかる…ロシアの戦力はウクライナを圧倒している
23日、ウクライナ南部マリウポリの破壊された劇場=AP
報道によると、新しい墓は5万平方メートル以上の範囲に作られていた。画像を分析したところ、露軍が重機で長い溝を掘り、埋め戻されていたことも分かった。墓には数字が記された小さな札があり、書かれた数字などから複数の遺体が埋葬されているとみられるものもあったという。
23日、ウクライナ南部マリウポリで取り壊しが進められる劇場=AP
マリウポリでは2万人以上が死亡したとされる。集団墓地の調査経験がある専門家は「墓の数は必ずしも殺害された人数と一致しない」と指摘している。
英BBCは23日、露当局がマリウポリで、3月に露軍の空爆を受けて廃虚となっていた劇場を取り壊し始めたと報じた。劇場は街の中心的な存在で、空爆当時は子どもを含む住民1000人以上が避難していた。亡命中のマリウポリ市長補佐は「占領当局が数百人もの民間人の殺害を隠そうとしている」と非難している。