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欧州諸国が伝統的な地上戦力を緊急調達する中、イタリアでもアリエテとダルドの後継計画のつなぎとして「ギャップを迅速に埋める戦車と歩兵戦闘車の調達」が浮上、レオパルト2A7導入が噂されている。
戦車を欲しがる国やアップグレードを希望する国は沢山あり、決断が遅れれば長い行列の最後尾に回ることになる
ウクライナ侵攻を受けて伝統的な地上戦力の再評価に注目が集まり、欧州では新しく戦車や歩兵戦闘車の調達(侵攻前から計画されていたものを含む)や検討を行う国が急増しているのだが、イタリアでもポルトラーノ中将が「アリエテとダルドの後継計画が具体化するまで時間がかり、このギャップを埋める戦車と歩兵戦闘車を迅速に調達したい」と国防委員会で言及して注目を集めている。
欧州諸国の戦車調達やアップグレード計画に関する動き(他にも噂は沢山ある) | ||
英国 | チャレンジー2×148輌のアップグレード計画 | 見直し中 |
フランス | ルクレール×200輌のアップグレード計画 | 50輌分を発注 |
ポーランド | M1A2SEPv3 | 250輌発注済み |
M1A1FEP | 116輌発注済み | |
K2とK2PL | 約1,000輌調達 | |
ノルウェー | レオパルト2A7(NO仕様) | 54輌発注+オプション18輌 |
スロバキア | レオパルト2A7導入を検討中 | 調達規模は50輌 |
ルーマニア | M1の調達を検討中 | 調達規模は54輌 |
イタリアはアリエテの後継に独仏が開発を進めている「Main Ground Combat System(MGCS)」を検討していたが、両国は共同開発の枠組みにイタリアを参加することに否定的(顧客して購入するのはOK)で、次期主力戦車を検討していたポーランドに「イタリアとスペインの3ヶ国で共同開発しないか?」とも提案(ウルフ・プログラムの勝者に韓国製のK2PLを選択)しており、伊産業界の関与が未知数なMGCSを導入するのか、単独もしくは新たに国際共同開発の枠組みを作るのか見えていない。
ダルドの後継計画は2022年度予算で「国際的なパートナー(共同開発国)を2024年までに決定する」と触れているものの、仕様はもちろん誰と共同開発するのかも謎なので先行きが明るくなく、ウクライナ侵攻が現実のものになると「欧州でも伝統的な地上戦を伴う戦争が発生する」と証明されてしまい、正統な後継計画が軌道に乗るまで国防力のギャップを放置できないという理由で「戦車と歩兵戦闘車を迅速に調達したい」とポルトラーノ中将は主張しているのだ。
イタリア国防省の関係者は「安全保障に必要とされる戦車の数は250輌で、アリエテのアップグレードは125輌(2035年まで運用予定)しか予定されていないため125輌のギャップが存在する」と明かし、元国防次官のミューレ議員(下院に相当する代議院副議長)は「ギャップを埋めるための戦車は購入ではなくリースが現実的な解決策で、NATOや欧州で運用実績があり、信頼性が高く、兵站基盤が確立されている戦車が必要だ」と述べているためレオパルト2A7導入が噂されている。
ただレオパルト2の生産基盤は短期間で大量生産できるほど強固なものではなく、ノルウェーが発注するレオパルト2A7も初回引き渡しは3年後の2026年予定で「迅速にレオパルト2A7を125輌も調達できるのか?」という問題にぶち当たり、ノルウェー曰く「戦車を欲しがる国やアップグレードを希望する国は沢山あり、決断が遅れれば長い行列の最後尾に回ることになる」と指摘しているのが興味深い。
因みに歩兵戦闘車のギャップが幾らあるのかは不明だが、独ラインメタルは「ダルドの後継にリンクスを購入するなら現地生産できる可能性がある」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:7th Army Training Command / CC BY 2.0
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