11日、ヘルシンキの大統領公邸で、読売新聞の単独インタビューに応じるニーニスト大統領=森井雄一撮影
【ヘルシンキ=尾関航也】北欧フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領が11日、読売新聞の単独インタビューに応じ、長年の非同盟政策を転換して北大西洋条約機構(NATO)加盟を決断した理由について「ロシアは近隣の主権国家を攻撃する意思と能力があることを示した」と述べた。昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵略がもたらした衝撃の大きさを強調したものだ。
フィンランドは昨年5月、隣国スウェーデンと同時にNATOに加盟申請し、先月4日に31番目の加盟国となった。ロシアの侵略が冷戦後秩序の転換点となったことを示す動きだ。
ニーニスト氏は「我々は(以前の)状況に満足していたが、ロシアが現状を変えようとした」「我々はロシアの安全保障圏ではない」とも述べ、一方的な現状変更の試みに対する危機感が国家戦略の大転換につながったことを明確にした。
ニーニスト氏は、日本が大陸の東側でロシアと隣接していることを踏まえ、「我々は間に同じ隣国を共有し、同じ懸念と利益を抱える」と強調。日本との安全保障協力に前向きな姿勢を示した。
サウリ・ニーニスト氏 財務相、議会議長などを経て2012年からフィンランド大統領。主に外交・安全保障政策を取り仕切る。ロシアのプーチン大統領との友好関係構築に腐心し、共にアイスホッケーの試合に出る間柄だった。任期は来春まで。74歳。