=ゲッティ
中国の肖千駐オーストラリア大使は18日、2020年から続けてきた豪州産木材の輸入制限措置を解除したと発表した。アルバニージー豪首相の中国訪問も協議していると説明。中国は、バイデン米大統領が、米国の「債務上限」引き上げ問題に対応するために豪訪問を中止した直後に、豪州への急接近を見せている。
肖氏は同日、豪首都キャンベラで開いた記者会見で、木材の輸入制限解除について、豪農相には伝達済みだとした上で、「中国の関税条件を満たした」と話した。
両国の関係は20年、豪州のモリソン前政権が、新型コロナウイルスの発生源の調査を中国に強く要求したことから関係が悪化。中国は、「害虫」を理由に豪産木材の輸入を制限したほか、ワインや大麦へ高い関税をかけるなど、事実上の報復措置を始めた。
ワインや大麦などに対する「報復措置」は続いている。ファレル豪貿易相は今回の決定を歓迎しつつ、「さらに多くの課題が残っている」とコメントした。一方、肖氏は他の輸入制限・関税措置などについても全面解除に向けた対応を進める考えを示した。
さらに肖氏は、アルバニージー氏の訪中について「外交ルートを通じて連絡を取り合い、双方に都合のいい日程を探っている」とし、「できる限り早い実現を望む」と述べた。アルバニージー氏はこれまでに「(訪中の)招待があれば受ける」と述べていた。
豪地元メディアは、今回の中国の動きについて、「先週中国を訪問したばかりのファレル氏も想定していなかった」とし、肖氏の会見について、「バイデン大統領の豪訪問中止によって、この地域における米国の影響力への懸念が生じた翌日」の「異例」なものであると報じた。【バンコク石山絵歩】