ロシアのプーチン大統領(古厩正樹撮影)
ロシアのウラジーミル・プーチン政権の「噓」が次々に暴かれている。ウクライナ侵略でのロシア兵の死者数が、公式に認めている4倍の2万5000人以上に上っているというのだ。ロシアの独立系サイト「メディアゾナ」と共同調査している英BBCが報じている。ロシア治安当局者を情報源として、「重傷」と報じられたウクライナ国防省幹部が健在であることも判明した。
【写真】ウクライナ軍の攻撃で破壊されたとするロシア軍陣地
共同調査は、BBCロシア語とメディアゾナなどによって行われている。21日に報じたBBC(日本語)の記事によると、死亡したロシア兵2万5000人の名前が判明し、これはロシアが公式に認めている4倍の数に上るという。BBCは、公表されている死者数だけを集計しているため、実際の死者数は2倍以上の可能性があるとする。
さらにロシア国営メディアで同国治安当局者の話として、ミサイル攻撃で重傷を負ったと報道されたウクライナ国防省情報総局のキリーロ・ブダノフ局長が20日、地元テレビに出演。ロシアメディアの報道を「フェイク」とし、自分は健在だと述べた。
ブダノフ氏は、5月末にキーウ(キエフ)中心部に近い情報総局本部で会議中にミサイル攻撃を受けて負傷したと伝えられていた。同氏はロシアメディアの報道について「視聴者の間で何らかの反響を呼ぼうとしたのだろう。質の悪いフェイクだ」などと話した。ウクライナのエミネ・ジャパロワ第1外務次官も20日、自身とブダノフ氏、松田邦紀・駐ウクライナ大使が並んだ写真を交流サイト(SNS)に投稿し、「これは加工画像ではない。みな健在だ」と書き込んだ。
一方、ウクライナ側の反攻も順調には進んでいない。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、21日に報じられたBBCのインタビューで反攻について、「これがハリウッド映画だと信じている人や、すぐに結果が出ることを期待している人もいるがそうではない」と訴え、反攻が期待通りに進んでいない様子を明かした。ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は20日、東部ドネツク州北部のリマンやハリコフ州クピャンスク方面など複数の地域で、ロシア軍が攻勢に出ていると説明した。