ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏=2023年4月8日、AP
ロシアで反乱を起こし、1日で撤退した民間軍事会社「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏は26日、通信アプリ「テレグラム」に音声メッセージを投稿し、「我々は政府を転覆させるために行進したのではない」と語り、改めてクーデターの意図はなかったと主張した。ロイター通信などが報じた。反乱収束後にプリゴジン氏が公式にコメントを出したのは初めて。ただ、プリゴジン氏は自身の居場所や状況については明かさなかった。
ロイター通信や米CNNなどによると、プリゴジン氏は11分間の音声メッセージの中で、今回の反乱について「ワグネルの解体を防ぎ、(ウクライナでの)『特別軍事作戦』でプロとは言えない行動により多くのミスを犯した関係者の責任を追及するのが目的だった」と説明。撤退した理由については「ロシア兵の流血の事態を避けるためだった」と強調した。また、進軍途中にロシア軍のヘリを撃墜し「後悔している」と語りつつ、「彼らが爆弾やミサイルで攻撃してきた」と正当化した。
ロシア国防省は6月、すべての志願兵に対して月内に同省と契約するよう命じたが、プリゴジン氏は強く反発していた。26日のメッセージでも、国防省が7月からワグネルの存在を消そうとしていると主張し、「(ワグネルの戦闘員は)誰も国防省と契約することに賛成しなかった。みんな特別軍事作戦の経験から、契約すれば戦闘能力を完全に失うことになると理解しているからだ」と訴えた。
武装蜂起したワグネルは24日に南部ロストフ州の南部軍管区司令部などを制圧してモスクワを目指したが、隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領との協議でプリゴジン氏が事態の沈静化に同意。同日夜に進軍を停止すると発表した。プリゴジン氏はベラルーシに出国する予定だったが、所在不明になっていると報じられていた。【カイロ金子淳】