英語で「ランサムウェアに感染」、プリンターから１００枚印刷…名古屋港システム障害

　国内有数の貿易拠点である名古屋港のコンテナターミナルで、コンテナの搬出入を一元管理するシステムが身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」に感染し、４日朝から作業ができなくなったと、システムを運営する名古屋港運協会が５日に発表した。愛知県警はサイバー攻撃の可能性があるとみて、不正アクセス禁止法違反容疑などで調べている。

【グラフ】ランサムウェアによる国内の被害は急激に増加している

　協会や捜査関係者によると、４日午前６時半頃、コンテナの重量を計測する機器に不具合があり、協会職員が確認したところ、システム障害が判明。その後、英語で「ランサムウェアに感染した」などと書かれ、指定のサイトにアクセスするように求める文書約１００枚がプリンターから出力された。

　協会によると、システムは５か所あるターミナル事務所のパソコンからアクセスできるほか、協会に加盟する一部の事業者からも接続できるという。協会は、一部の事業者のパソコンからウイルスが侵入した可能性もあるとみている。

　名古屋港では５日も終日、コンテナの搬出入を行えなかった。周辺の道路ではこの日、船に積めない荷物を別の倉庫などに移すトレーラーの列ができていた。協会はシステムの復旧を急ぎ、６日午前８時半頃からの作業再開を目指すとしている。

　名古屋港は、コンテナ貨物を含む総取り扱い貨物量が２１年連続で全国トップ。同港から自動車部品を輸入しているトヨタ自動車は「一定の在庫があり、すぐに生産に影響することはない」としている。