アゼルバイジャンがスペイン会談を拒否、南コーカサスからの仏排除が目的

フランスのコロンナ外相がアルメニアとの将来の兵器取引に関して合意したと発表しましたが、これに対してアゼルバイジャンは和平協議のためのスペインでの会談を拒否する構えをみせています。この状況は領土保全に不安を抱えるアルメニアにとって厳しいものです。

スペイン会談を拒否することで「アルメニアとフランスの接近を阻止したい」と考えているのかもしれない

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は先月20日、「南コーカサスは何世紀も血なまぐさい衝突を繰り返したがもう沢山だ。遠く離れた所から自らの政治的利益を追求し、その道具としてアルメニア人を利用し、搾取し、売り飛ばす勢力、詐欺師、腐敗した政治家に南コーカサスから手を引くことを要求する」と述べ、アルメニアに対しても「対テロ作戦期間中の立場には希望を感じられる。アゼルバイジャンとアルメニアが問題を解決して和平協定に調印し、南コーカサスの国々が将来に向けて協力を開始する日が遠くないという希望だ」と言及しています。

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)
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「対テロ作戦期間中の立場」とは、アルメニアがアルツァフ共和国への支援や戦闘への介入をしなかったことを指し、パシニャン首相の発言(ナゴルノ・カラバフ地域はアゼルバイジャン領の一部)が信頼できるため、「和平協定への調印に期待できる」という意味です。アルメニアとアゼルバイジャンはスペインでの首脳会談を予定していましたが、アリエフ大統領がスペイン訪問を拒否したとInterfax Azerbaijanやアゼルバイジャンメディアが報じています。

メディアの報道によれば、「最近のEU、フランス、ドイツ、アルメニアの言動は反アゼルバイジャンを増長し、特にコロンナ外相の発言はスペイン会談の幻滅をもたらした。そのためアゼルバイジャンは会談への出席を拒否する。我々はフランスが参加する如何なる形式の協議にも参加しない」との内容です。アゼルバイジャンはフランスとアルメニアが発表した軍事装備の供給に反発したと考えられます。

出典:ՀՀ արտաքին գործերի նախարարություն
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フランスのコロンナ外相は、「アルメニアとの兵器取引に関する合意により、フランスはアルメニアが将来的に自国領を防衛するための装備を提供できるようになった」と述べています。これをアゼルバイジャンは「敵対行為」と認識していると言われています。

アルメニアとアゼルバイジャンの間では、ナゴルノ・カラバフ地域を巡って国境や領土の問題が未解決のままです。両国の軍事力には大きな差があり、力のバランスが不均衡になっています。アゼルバイジャンの軍がアルメニアの国境を挑発している(国境や領土が互いに承認されていないため、主権の侵害を主張しにくい状況)という報告も頻繁にあります。アルメニアは和平協定を締結しない限り、領土保全に不安を抱えたままです。

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia
出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

一方、アゼルバイジャンは和平協定の締結には焦りを感じていないため、スペインでの会談を拒否することで「アルメニアとフランスの接近を阻止したい」と考えているのかもしれません。

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Source link: https://grandfleet.info/european-region/azerbaijan-rejects-spanish-talks-aims-to-exclude-france-from-south-caucasus/