中東危機:第三次世界大戦の火種?中・露・北・イランの連携と米議会の報告書

プーチン大統領

中東情勢が世界に混乱をもたらすかもしれません。中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そして北朝鮮の金正恩総書記など、専制主義の3か国トップが経済と軍事の連携を深めています。一方、米国が支援するイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が激化しており、イランのシーア派組織ヒズボラも参戦しています。このような「自由主義」諸国との対立構図が明確になるにつれて、日本も「台湾有事」で最前線に立つリスクを抱えています。

中露連携に警戒感、同時戦争への備えが必要とされる

中露両国の連携に対して、米国では警戒感が高まっています。米議会が超党派で設置した戦略態勢委員会の報告書には「核保有国のロシアと中国との同時戦争への備えが必要」という衝撃的な内容が記されています。報告書は「中国の核戦力の急速な拡大と、ロシアの核兵器への依存度の上昇が、米国の安全保障に前例のない脅威をもたらしている」と警告し、2027年から2035年にかけて紛争が起きれば核戦争に発展するリスクが高まると指摘しています。

同報告書はまた、北朝鮮についても「米本土や朝鮮半島、日本を攻撃する能力を持っている」とし、新しいミサイル防衛体制の構築が急務であるとしています。

中東情勢の緊迫

中東情勢はますます緊迫しています。イスラエルのガザ地区での地上作戦が間近に迫っており、ヒズボラはロケットや対戦車ミサイルをイスラエルに向けて発射しました。またヒズボラの他にも、イエメンの親イラン組織「フーシ派」もミサイルと無人機で攻撃を仕掛け、米軍艦がこれを撃墜しました。イランに近い武装勢力の関与が明らかになっています。

福井県立大学の島田洋一名誉教授は「中露とイランの間で陽動作戦が行われ、互いに侵略行動を支援し合っていると懸念される『新たな悪の枢軸』のシナリオが現実化しつつあります。米国では『ハマスはイランの子分のテロ組織』との認識が広まっています。もしハマスがイランから核兵器を供給された場合、使用をためらわないでしょう。自由主義の陣営は中露やイランを封じ込める必要があります。」と指摘しています。

日本の対応策は?

拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は「第三次世界大戦の火種はイスラエルになるでしょう。イスラエル軍が地上作戦に踏み切りますが、ハマスの壊滅には時間がかかるでしょう。ガザ地区が世界に広まれば、ロシアは『西側諸国の国際法違反』と主張し、国際社会を混乱させる好都合な条件が生まれるかもしれません。米国はウクライナと中東の『二正面作戦』に取り組んでいますが、三正面作戦は困難であり、中国による台湾侵攻や北朝鮮による韓国侵攻の可能性も考えられます。」と警鐘を鳴らしています。

さらに、中国の軍拡も深刻な脅威となっています。米国防総省の年次報告書によれば、中国は現在500以上の核弾頭を保有しており、2030年には1,000を超えると予測されています。中国は極超音速ミサイルの開発や人工知能(AI)の軍事利用にも取り組んでおり、サイバー攻撃によって数日から数週間にわたって米国の天然ガスパイプラインを遮断する能力を持っているとされています。

日本はどのようにこれらの脅威に対処すべきでしょうか。川上氏は「戦争を避けるために中国に対してメッセージを送り続ける一方で、日本は日米韓の緊密な連携を図り、南西諸島の防衛や米国製巡航ミサイル『トマホーク』の導入など、既定の安全保障強化を進めるべきです。さらに、米国の核兵器を自国に配備し共同運用する『核共有(ニュークリア・シェアリング)』の議論も加速させるべきです。」と強調しています。

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