最高裁が「帝国の慰安婦」著者の有罪判決を破棄しました。この判決により、「無罪の趣旨」で審理が差し戻されました。
朴裕河氏の名誉教授に対する判決破棄
韓国・世宗(セジョン)大学の朴裕河(パクユハ)名誉教授(66)は、元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われていました。これに対し、最高裁はソウル高裁の罰金1000万ウォン(約110万円)の判決を破棄し、審理を高裁に差し戻しました。
学術研究と表現の自由
この裁判では、学術研究における言論と表現の自由が争点となりました。朴氏は自身の著書が個人の名誉を毀損していないと一貫して主張してきました。
2017年の1審では、「日本軍と同志的な関係にあった」「自発的な意思で慰安婦になった」という表現について、名誉毀損には当たらないと判断され、無罪とされました。この本は公共の利益のために出版されたものであり、「表現の自由を広く保障しなければならない」との判断が下されました。
しかし、同年の控訴審では、朴氏が元慰安婦らの社会的評価の低下を認識しながら執筆したと認定され、逆転有罪判決が言い渡されました。
「帝国の慰安婦」とは?
「帝国の慰安婦」は、日本の帝国主義下で女性の人権侵害を描いた学術書です。一方で、元慰安婦が「旧日本軍の性奴隷」という一面的な見方に疑問を示しています。この本は2013年に出版され、日本でも翻訳本が発刊されました。朴氏は、元慰安婦らの告訴を受け、名誉毀損の在宅起訴を受けました。
この判決は、学術研究と表現の自由をめぐる重要な争点であり、今後の裁判の展開が注目されます。