日本の対馬の寺院から盗まれ、韓国国内に搬入された高麗時代の仏像が、日本に所有権があると最高裁が判断したことが明らかになりました。
所有権争いの結末
最高裁判所の判断により、韓国国内に存在している仏像の所有権は、日本の寺院に帰属することが確定的となりました。この判決は、韓国の浮石寺が国を相手取って起こした有体動産引渡し請求事件において、原告敗訴を確定したものです。
仏像の歴史と重要性
この仏像は、高さ50.5センチ、重さ38.6キロの「金銅観音菩薩坐像」です。仏像の胴体の中から見つかった発願結縁文には、「1330年、現在の瑞山に住む人々が福を願い、仏像を鋳造した」という記述があります。この仏像は、高麗時代の典型的な様式を示し、研究者たちの注目を集めてきました。また、1352年から1381年にかけての高麗史には、倭寇の侵略が5回もあったという記録があり、仏像が日本に渡った可能性も推測されています。
この仏像は、1526年から日本の対馬市の観音寺に約400年間奉安されていました。しかし、2012年に韓国人の窃盗犯に盗まれ、国内への密搬入を試みたところ摘発され、検察に押収されました。その後、浮石寺が寺からの略奪文化財として所有権を主張し、法廷闘争が始まりました。
判決の根拠と結論
最高裁は、日本の観音寺が仏像を盗難される2012年まで20年以上所有していたことから、仏像の所有権は日本の寺院にあると判断しました。一定期間問題なく占有した場合、所有権が移る「取得時効」の法理に基づく判断です。
最高裁は、争点となった仏像が瑞山浮石寺と同一の寺院であることを認めましたが、所有権は日本にあると判断しました。また、最高裁は物の所在地の法律を適用するとし、韓国の民法を適用しても取得時効期間が日本の旧民法よりも短いため、結論に影響はないと判断しました。
長い法廷闘争の結末
この仏像を巡る法廷闘争は、2013年から10年以上にわたり続いてきました。仏像の所有権をめぐる争いがようやく決着を迎えることとなりました。
一方、大韓仏教曹渓宗は最高裁の判決結果に強い遺憾の意を表明しました。彼らは、略奪された盗難文化財に取得時効を認めることは不合理であり、略奪文化財の隠匿や不法占有を助長するものと主張しています。
この判決により、高麗時代の貴重な仏像が日本に帰されることとなりました。日本と韓国の歴史的な分かれ道の一つともいえるこの事件は、世界的な注目を集めています。
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