自由のための戦いは終わらない!ドイツ、2032年までの予算計画にウクライナ支援を盛り込む

出典:Bundeswehr クリスチャン・フロイディング少将

ドイツ軍のクリスチャン・フロイディング少将は、「もっと長く持ちこたえることができるとプーチンに分からせなければならない。ドイツは2032年までの予算計画にウクライナ支援資金を組み込んでいる。自由のための戦いに期限はない」と述べました。

時間がプーチンではなく我々の味方だと認識しなければならない

ピストリウス国防相は、長期的な国防戦略や計画の立案・管理を行う部署を設立しました。同氏はウクライナ支援に関する責任者も努めており、Stuttgarter Nachrichten紙のインタビューで興味深い話を披露しました。

出典:Photo: SGM Marco Dorow, German Army

定期的に訪問するウクライナ側の雰囲気は?
昨年の訪問時はハルキウ反撃直後で、ウクライナ人の雰囲気も高揚感に満ちていました。今年9月の訪問時も「勝利への期待感」や「厳しい決意」を感じることができましたが、同時に「疲労感」や「悲しみ」も伝わってきました。ウクライナ人は喪失感を経験しており、大切な誰かを失う経験をしています。

ウクライナはドイツをどのように見ているのか?
ドイツの支援の多さをよく知っているため、ウクライナ側は感謝の気持ちでいっぱいです。我々は約束したことを必ず実現させるため、「信頼できるパートナーだ」と思われています。

現在の戦況についてどう思うか?
ここ数週間は膠着状態が続いており、戦場の主導権がウクライナ軍とロシア軍の間を行ったり来たりしています。しかし、ザポリージャ南部でウクライナ軍の攻勢は勢いを失っています。ただし、本攻勢で獲得した土地は維持できています。一方、ロシア軍はウクライナ東部に人員と物資を大量投入して攻勢を仕掛けていますが、今のところ大きな進展は見られていません。

冬に突入すると戦争はどのように変化するのか?
冬の影響はあると思いますが、特にウクライナ南部では天候の影響を過大評価すべきではありません。双方とも冬場に部隊のローテーションと訓練を行うはずなので、作戦のテンポは落ちても完全に停止することはないでしょう。冬場の作戦は、後方の拠点、インフラ、司令部などの攻撃に集中する可能性があります。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

膠着状態が長引けば「ロシアに勝てない」という声が高まると思うが?
ウクライナとロシアの戦争を含む「全ての戦争」は軍事的に勝利することができます。しかし、「全ての戦争」は交渉テーブルの上で終結します。最も重要なのは、両者が「どのような立場」で交渉の席に着くかです。

あなたはロシアは小さな利益のため多くの犠牲を受け入れると述べたが?
これはロシア軍の伝統的なドクトリンに起因するもので、ロシア軍の人道的なイメージを示しています。彼らは人的な損失や物資的な損失にも関わらず、「戦場の成功」を強要しようとしています。

出典:Минобороны России

ロシアは兵士や装備の損失を容易に補填することができると思うか?
ロシア軍は潜在的な動員力に余裕があるため、「戦力を出し惜しみする必要がない」と明らかに確信しています。ロシアがどれだけ動員できるかは政治的状況に左右されますが、特に2024年春に大統領選挙が控えているため、現時点で「最大動員力」を見積もるのは困難です。装備に関しては1960年代モデルや1970年代モデルを投入していることが確認できますが、まだT-14のような「驚異的な兵器」は戦場で確認されていません。

ドイツはどのような貢献が可能か?
ドイツはここ数ヶ月間だけでも複数の強力な支援パッケージを発表してきました。現在は3セット目のIRIS-T SLMを納入し終え、2セット目のパトリオットシステムも間もなく納入されるでしょう。さらにウクライナ軍兵士のため冬用装備も提供しており、我々の支援は特定分野(防空、砲兵、工兵、装甲車輌、特殊装備など)に集中しています。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

ドイツが供給した装備の内、既に破壊されているものはどれぐらいあるのか?
正確な数を口にすることはできませんが、戦争には損失がつきものです。我々はウクライナ人に最高の訓練環境を提供し、損失を最小限に抑える努力をしています。ドイツ軍はこれまで8,000人以上のウクライナ人を訓練してきました。ウクライナ人はもっとレオパルト2やPzH2000を欲しいと言っています。

ウクライナ支援とイスラエル支援は競合関係にあるのか?
両国への支援のスタートラインもニーズも大きく異なります。ウクライナ軍は西側基準に移行し始めましたが、イスラエル軍は高度な訓練と近代的な装備で構成されており、両国の経済力も戦争のタイプも大きく異なるため、支援内容が競合することはありません。

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

ウクライナ支援の責任者として仕事の内容に変化があったか?
当初は短期的な支援が中心でしたが、現在は長期的な視野で支援を考えています。パートナーとの協議で「ウクライナへの軍事支援」が10年以上になると見積もられており、我々はすでに2032年までの予算計画にウクライナ支援資金を組み込んでいます。これは我々の決意を示すもので、「自由のための戦い」には期限がありません。

以上がStuttgarter Nachrichten紙のインタビュー内容です。同紙は最後に「あなたは戦争に勝てないとロシアが確信する必要があると述べたが、この認識がモスクワで広がっている兆候はない。これは今後の戦争にとって何を意味するのか?」と質問しました。これについて少将は「時間がプーチンではなく我々の味方だと認識しなければならず、プーチンに『我々はもっと長く持ちこたえることができる』と分からせなければならない」と答えました。

追記:2032年までのウクライナ支援資金を組み込んだ予算計画が政治的に成立するのかどうかは不明ですので、注意してください。

ザルジニー総司令官が反攻作戦の評価に言及、私が間違っていた
米下院がイスラエル支援法のみを可決、ウクライナ支援継続は不透明
ロシアの動員数は損失を十分カバー可能、10ヶ月間で38.5万人を確保

※アイキャッチ画像の出典:Оперативне командування “Схід”

Source link: 日本ニュース24時間