米海軍が魚雷発射管からの発射・回収が可能なUUVを数年以内に実用化

米海軍は、潜水艦の魚雷発射管からの発射・回収が可能なUUV(無人水中機)の開発を進めています。開発プログラムを主導するスミス少佐によれば、「数年以内に実戦投入できる見込み」とのことです。また、米海軍は空中と海中の両方で飛行・航行できる小型ドローンの実証テストをSubUAS社に発注しました。

クワッドコプタータイプのドローンがもたらす脅威は「陸上戦に限定されたもの」という考えが覆されるかもしれない

潜水艦に求められるスペックや能力は国によって異なります。一部の国では伝統的な対潜水艦戦能力を重視し、他の国では長距離哨戒や対地攻撃、特殊部隊の運搬などの多用途性を重視しています。最近では、UAVやUUVの水中発射能力や連携能力も要求されるようになっています。

すでに潜水艦の魚雷発射管からの運用が可能なUUVは実用化されていますが、任務終了後のUUVを回収するためにはダイバーによる面倒な作業が必要でした。しかし、米海軍のモートン少将によれば、「任務を終えたUUVは自力で潜水艦の魚雷発射管に帰還できる能力が必要だ。この機能が実装されれば全ての潜水艦がUUVの母艦になる」と述べています。新型UUVであるRazorbackUUVの後継となるREMUS600ベースのUUVも、「自律的な回収に対応した設計になる」と報じられています。

新型のUUVは「Medium UUV(MUUV)」と呼ばれ、米海軍のケビン・スミス少佐によれば、「Leidos社とL3Harris社は自社費用で実証モデルを建造し、開発を加速させています。数年以内に実戦投入される予定ですが、海軍は産業界から入手可能な類似モデルを使用して訓練し、運用方法を学んでいます。」とのことです。また、大西洋の潜水艦部隊はHII製のUUVをテストし、太平洋の潜水艦部隊はL3Harris製のUUVを魚雷発射管からの発射・回収に成功させたとも報告されています。

ゴーチャー少将によれば、魚雷発射管からの発射・回収が可能な新型のUUVが2024年に配備される予定であり、この取り組みは新型MUUVの開発・実用化と並行して行われます。既存のRazorbackUUVは、欧州地域や太平洋地域の演習に参加し、対機雷戦や海底探査、港湾警備などの任務に貢献しています。しかし、新型MUUVには「潜望鏡とソナーに限られた状況認識力を拡張する」という期待が寄せられています。

この新型UUVは、単体での情報・監視・偵察(ISR)任務だけでなく、必要に応じてUAVの水中発射や通信の中継などにも使用することができます。UUVを回収して再使用する能力は、弾庫容量が限られる潜水艦にとって非常に魅力的です。

また、記事によれば、米海軍は攻撃型原子力潜水艦に水中発射型UAV「Blackwing」を搭載する計画を発表しており、インド海軍やイスラエル企業も同様の取り組みを行っています。さらに、中国も水中発射型UAVのテストを行っており、この技術に対する関心が高まっています。

さらに、米海軍はクワッドコプタータイプの小型ドローンのテストを行っています。米海軍研究局は「Naviator」というドローンの実証テストを発注し、注目を集めています。このドローンは空中と海中の両方で飛行・航行することができ、有人潜水艦から発射するUUVと組み合わせることでさらなる可能性が広がるとされています。

まだ空中と海中の両方で飛行・航行できるクワッドコプタータイプの小型ドローンの実用性や戦場での有用性は不明ですが、陸上戦だけでなく海上戦力も安価なドローンやUAVの脅威に晒される可能性が高まっています。これにより、クワッドコプタータイプのドローンがもたらす脅威は「陸上戦に限定されたもの」という考えが覆される可能性があるのです。

この取り組みにより、潜水艦はより多目的な能力を求められるようになりました。米国やフランスは潜水艦をUUVの母艦に変えたいと考えています。中国やインドも自国の軍隊向けにUAVやUUVの開発を行っています。さらに、米海軍が水中発射型UAVを導入しています。