日本のトイレ事情:和式トイレは本当に必要?専門家が訴える「和式トイレ教育」の重要性とは

時代遅れ?和式トイレの現状

一昔前まで日本の家庭で当たり前のように使われていた和式トイレ。近年では洋式トイレの普及が進み、家庭で見かけることは少なくなりました。TOTOの出荷実績によると、現在の和式トイレの出荷率はわずか0.16%で、そのほとんどが公共施設向けとなっています。

和式トイレ和式トイレ

洋式トイレ普及のきっかけは、1959年に日本住宅公団が採用したことでした。1960年代の高度経済成長期には、まだ和式トイレが主流でしたが、1977年にはTOTOの出荷数で洋式トイレが和式トイレを逆転。その後も洋式トイレへの置き換えが進み、2008年には家庭における洋式トイレの普及率は約9割に達しました。

和式トイレのメリット・デメリット

和式トイレのデメリットとして挙げられるのは、「悪臭がしやすい」「水が流れる際に飛び散り不衛生」「排泄物がはみ出す・広がりやすい」「姿勢がつらい」などです。一方、メリットとしては、「滞在時間が短い(特に女子トイレの行列緩和につながる)」「足腰が鍛えられる」「肌に便器が触れない安心感」「日本人は欧米人より腸の出口が鋭角で、和式は日本人にとって便が出やすいベストな体勢」といった点が挙げられます。

和式トイレのメリット和式トイレのメリット

トイレ研究家で世界トイレ協会理事の白倉正子氏は、洋式トイレが主流になった理由として、膝・股関節・脚力など身体への負担が少ないこと、そして住居内のトイレ設置が一般的となり「大」「小」兼用の洋式トイレが省スペースとなったことを挙げています。

専門家が訴える「和式トイレ教育」の必要性

和式トイレは全面的に洋式トイレに置き換えるべきなのでしょうか?白倉氏は、「教育用に残すべきだ」と主張します。その理由として、「地震が起きると、トイレが使えなくなる可能性がある。外でも用を足せる脚力を持つ必要がある」ことを挙げています。

もしもの時、和式トイレが使えなかったら?もしもの時、和式トイレが使えなかったら?

現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、「小中学校には和式トイレを設置している自治体が多いと言うが、幼稚園や保育園で設置しているところは、ほぼないと思う」と、現場の状況を語ります。「古くからの園では、和式トイレが置かれている場合もあるだろうが、使用方法を教えることはない」とのことです。

白倉氏は、現状は「和式トイレを経験している人たちの議論」になっていると指摘します。「和式トイレは不要だと言い聞かせると、後ろに転んだり、立ったままおもらししたりする子が出てしまうのではないかと危惧している」と話し、そうした懸念から、「和式トイレ教育は、絶対に入れた方がいい」と力説します。

ひろゆき氏「海外には和式的なトイレが多い。洋式でなんとかなるは誤解」

ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「海外には和式的なトイレが多い。きれい・汚いではなく、下手すると命に関わるため、教育としては必要だ」と語ります。「発展途上国は、ほぼ和式的だ。アメリカでも洋式トイレが汚すぎて、和式トイレのように便座を足で踏むことがある。洋式トイレでなんとかなるというのは誤解だ」と指摘します。

ひろゆき氏ひろゆき氏

さらに、「“和式“の呼び方のせいで、日本にしかない数少ないやり方だと思われている」とも指摘します。「世界中を見たら、穴に排せつする方が多い。日本も洋式トイレになってきたといって、海外では和式トイレが普通。『和式トイレの方が世界式だから覚えなきゃ』と教育しやすい」と提案しました。

まとめ

和式トイレは、洋式トイレに比べて使いにくいと感じる人も多いかもしれません。しかし、災害時や海外では、和式トイレと似たようなトイレを使う場面も考えられます。子どもたちの安全や快適な生活のために、和式トイレの使い方を教える「和式トイレ教育」の必要性について、改めて考えてみてはいかがでしょうか?