開業以来、黒字化達成ならず
神戸の街を東西に走る神戸市営地下鉄海岸線。2001年の開業以来、その利便性で地元住民や観光客の足として親しまれてきました。しかし、その一方で、開業以来一度も単年度黒字化を達成できていないという厳しい現実も抱えています。今回は、”日本の地下鉄最大の赤字路線” ととも言われる海岸線の現状と課題について探っていきましょう。
低迷の背景にあるもの
2023年度の決算によると、海岸線の経常損失は約21億5000万円。コロナ禍の影響が落ち着きつつあるとはいえ、依然として厳しい状況が続いています。乗車人員は増加傾向にあるものの、コロナ禍前の水準には及ばず、運賃収入も低迷しています。
海岸線は、約8000人が働く三菱重工神戸造船所や川崎重工業神戸工場、大型商業施設の神戸ハーバーランド、観光名所の旧居留地、ノエビアスタジアム神戸など、多くの集客施設を繋いでいます。にもかかわらず、なぜ利用者が伸び悩むのでしょうか?
考えられる要因の一つに、三宮の中心部からやや離れた場所に駅が位置していることが挙げられます。主要ターミナル駅へのアクセスが必ずしも良くないため、他の交通機関を選択する人も少なくありません。
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利用促進に向けた取り組み
神戸市は、海岸線の利用促進に向けて様々な取り組みを行っています。例えば、沿線地域の魅力を発掘し、観光客誘致を促進するためのイベント開催や情報発信に力を入れています。また、ICカード乗車券の導入による運賃割引や、沿線施設との連携によるお得なサービス提供など、利用者にとって魅力的な施策も展開しています。
赤字解消への道のりは?
海岸線の赤字解消は、神戸市の財政にとって重要な課題です。抜本的な解決策を見出すためには、更なる利用促進と経費削減に向けた取り組みが不可欠と言えるでしょう。
例えば、沿線地域における新たな開発や企業誘致を進め、通勤・通学利用者の増加を図ることが考えられます。また、運行本数の見直しや省エネルギー化など、コスト削減の工夫も必要です。
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市民の意識改革も重要に
「交通関係の専門家は、海岸線の赤字解消には、市民一人ひとりの意識改革も重要だと指摘しています。マイカー利用を控え、公共交通機関を利用するなど、街の交通体系全体を支える意識を持つことが大切です。」
海岸線の未来は、神戸市や関係機関の努力だけでなく、市民の積極的な協力も不可欠です。