韓経:4倍払っても確保できないばら積み船…中国のために気を揉む韓国企業


コンテナ船運賃が毎週過去最高値を更新する中でばら積み船運賃まで急騰している。「世界の工場」中国の石炭、鉄鉱石、銅など原材料の輸入が増えたのが原因だ。写真は中国の山東省青島港で船積みを待っているばら積み船。韓経DB
コンテナ船運賃が毎週過去最高値を更新する中でばら積み船運賃まで急騰している。「世界の工場」中国の石炭、鉄鉱石、銅など原材料の輸入が増えたのが原因だ。写真は中国の山東省青島港で船積みを待っているばら積み船。韓経DB

石炭、鉄鉱石、穀物などを運ぶばら積み船運賃が年初から高騰している。新型コロナウイルス流行で稼動を止めていた工場が相次いで稼働を再開している影響だ。液化天然ガス(LNG)運搬船の用船料と一部航空貨物運賃も大幅に上がる傾向だ。コンテナ船発の運賃上昇が全方向に拡散する様相だ。20日の海運業界によると、ばら積み船運賃指数のバルチック海運指数(BDI)は18日基準1740で、今月に入り27%上昇した。

LNG運搬船の用船料も急騰している。英国の造船海運市況分析会社のクラークソン・リサーチによると、16万CBM(立方メートル)級LNG運搬船1日の用船料は単発契約基準で8日に19万5000ドルに達した。昨年7月の2万7500ドル水準から7倍以上上昇した。米国~日本、米国~欧州などの人気区間は30万ドル前後に達したりもする。

ばら積み船とLNG運搬船の運賃急騰は新型コロナウイルス流行後に生産を減らしたり中断した日本、欧州、北米の工場が最近設備稼動率を高めている影響が大きい。特に中国の製鉄所と発電所が石炭、鉄鉱石、LNGなどの輸入を急激に増やし運賃上昇を主導している。

コンテナ船運賃上昇がばら積み船運賃を刺激した側面もある。昨年下半期以降に急騰しているコンテナ船運賃は連日過去最高を塗り替えている。上海コンテナ運賃指数(SCFI)は15日基準2885に上昇した。昨年11月下旬2000を初めて超えてから2カ月で3000に迫っている。毎週金曜日に発表されるこの指数は昨年11月6日以降毎週最高記録を立てている。

原材料を輸入し、生産した物を輸出しなければならない韓国企業には物流非常状況だ。ある化学企業関係者は「昨年下半期にはコンテナ船確保が難しく輸出するのに支障が出たが、今年に入ってからは海外から原材料を国内に持ってくるばら積み船まで確保できなくなっている。輸出と輸入とも全方向で困難が加重されている」と話した。

◇「ばら積み船、追加料金4倍払っても確保できず

昨年下半期、輸出企業はパニックになった。釜山(プサン)港からコンテナ船が消えたためだった。中国のせいだった。中国は新型コロナウイルス流行状況を収拾した後、昨年下半期から工場を本格的に稼動した。世界の主要海運会社は仕事が多い中国に集まっていった。コンテナ船の大部分が中国に投入され世界のコンテナ船運賃も揺れ動いた。韓国企業が釜山港で追加料金を払ってもコンテナ船を利用できない状況にまでなった。こうしたコンテナ船運賃上昇と不足問題は今年まで続いている。

◇中国、原材料輸入拡大

ばら積み船運賃指数であるバルチック海運指数、LNG運搬船用船料などが急騰したのは昨年下半期のコンテナ船運賃上昇と原因がほとんど同じだ。今回はばら積み船、LNG運搬船が中国に集まっている。中国が原材料輸入を増やしている影響が大きい。

中国では今年に入り鉄鉱石や石炭などの在庫が急速に減少している。ブルームバーグが20日に伝えたところによると、昨年12月に1億3000万トンを超えた中国の鉄鉱石港湾在庫が1カ月で1000万トン前後減少して1億2000万トン水準まで落ち込んだ。中国国内の製鉄所稼動率が高まり鉄鉱石の在庫が急速に消費されている。鉄鉱石を消費する中国国内の製鉄所は最近稼動率を高めている。電気自動車販売の急増、建設工事の拡大など鉄鋼需要が拡大しているためだ。

中国内の電力需要増加も一因だ。石炭など火力発電の割合が50%を超える中国は冬の寒波が近づくと石炭やLNGなど化石燃料の輸入を増やした。この影響で世界の主要海運会社はばら積み船だけでなくLNG運搬船まで中国に投じている。中国はこれまでのオーストラリアやブラジルのほか、インドネシアなど東南アジア地域まで輸入先を多角化してばら積み船運賃を主導した。ばら積み船はほとんどが長期契約を結び企業が専用船のように運営する。スポット(単発)で短期間利用する船は一部にすぎない。この一部を中国がすべて押さえており、韓国、日本、東南アジアなどでばら積み船とLNG運搬船を追加で確保するのが難しくなった。

来年導入予定の環境規制も原因だ。国際海事機関(IMO)は昨年からすべての船舶に対し燃料の硫黄含有量をこれまでの3.5%以下から0.5%以下に下げた。これに合わせるには老朽船舶に脱硫設備を設置しなくてはならないが、これには3~6カ月がかかる。海運会社は昨年から脱硫設備構築作業に入った。ある海運会社関係者は「規制基準をクリアできなければ各国のターゲットになりかねない。主要海運会社がすべて規制を合わせようとするだろう」とした。

◇輸出・輸入とも厳しい状況

コンテナ船に続きばら積み船運賃まで急騰し企業の困難は加重されている。直撃弾を受けたのは鉄鋼と化学業界だ。生産中断まで検討する会社もある。ある石油化学企業関係者は「先月中国から入れることにした原料がばら積み船不足でまだ到着していない。韓国国内で高い原料を代替投入し対応しているが利益が出ず工場を止めるかもしれない」と話した。

工場稼動中断ほどではないが厳しい会社が多数だ。鉄鋼業界関係者は「韓国とインドを行き来するばら積み船運賃が昨年下半期より4倍近く上がった。物量を1度に集めて送る形で対応しているが、ますます船を確保するのが難しくなっている」と話した。錦湖(クムホ)石油化学関係者も「原料を海外から確保するのに困難が多い。生産に支障が出ないか状況を細かくモニタリングしている」と伝えた。

交渉力が弱い中小企業の状況はさらに深刻だ。昨年末には米国航路で物流大乱が集中発生したが、最近では欧州、東南アジア航路の運賃まで急騰し、これら地域への輸出の割合が高い中小企業が困難を吐露している。壁紙用生地を欧州に輸出するある中小企業の代表は、「製品原価で運賃が占める割合は昨年上半期には10%未満だったがいまは30%まで上がった。これさえ適時に物を送ることができず契約に支障が出ている」と訴えた。

一部海運会社の横暴を吐露する声もある。事前通知なく一方的に契約条件を変更したり破棄したりする事例が相次いでいる。ある造船部品メーカー社長は「最近は海運会社に運賃を問い合わせると、スペースがないというのが最初の返事。契約を延期するなど代案を探しているがいつまで持ちこたえられるかわからない」とした。



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