台湾在住日本人の選挙権、在外公館投票の壁

台湾に住む日本人、衆院選で投票できないジレンマ

27日投開票の衆院選を前に、台湾に住む日本人たちが投票の壁に直面している。在外投票で一般的な在外公館投票が、台湾では利用できないのだ。

投票箱に一票を投じるイメージ投票箱に一票を投じるイメージ

世界情勢が緊迫する中、台湾海峡の安全保障は日本の将来を左右する重要なテーマだ。台湾在住の日本人にとっても、自分たちの安全に関わる選挙に参加しにくい現状に、不満の声が上がっている。

外交関係の欠如が在外公館投票を阻む

日本は台湾と正式な外交関係がなく、公益財団法人「日本台湾交流協会」が実務を担っている。在外公館投票は公職選挙法で在外公館を投票所の条件としているため、協会事務所では投票できない。

台北市在住の福井幸子さん(68)は、「海外にいると日本人としての意識が高まる。選挙で意見を反映させたいが、投票できないのは歯がゆい」と話す。

郵便投票は煩雑で時間との闘い

郵便投票は可能だが、手続きが煩雑で選挙期間が短い場合は間に合わない可能性もある。福井さんも以前利用したが、面倒でやめてしまったという。

大手メーカー駐在員の男性(55)も、今回の衆院選で初めて在外投票に挑戦しようとした。しかし、選挙期間が短く、投票用紙が間に合わなかった。「在外公館がないから投票できないというのは、時代に合っていない」と憤る。

在外公館投票に関する情報を記載したメール在外公館投票に関する情報を記載したメール

ネット投票導入など、時代に合った制度改革を

海外在住者からは、郵便事情の悪化やデジタル化の進展を背景に、在外投票制度の見直しを求める声が上がっている。

「海外有権者ネットワークNY」の竹永浩之共同代表は、在外投票へのネット投票導入を提言する。マイナンバーカードの海外利用が可能になったことなどを踏まえれば、実現の可能性は高いと見ている。

在外公館投票の壁は、台湾に住む日本人にとって、選挙権行使を阻む大きな障壁となっている。在外投票制度の抜本的な見直しが必要だ。