【健康リスク】マーガリンはなぜ日本で売られている?アメリカでは販売禁止の衝撃

朝食の定番、パンに塗るマーガリン。しかし、実はアメリカでは健康への悪影響から販売が禁止されているってご存知でしたか?日本では当たり前にスーパーに並んでいるのに、なぜ?今回は、マーガリンの知られざる真実と、健康との関係について詳しく解説します。

マーガリンに潜む「トランス脂肪酸」の恐怖

マーガリンがやり玉に挙げられる最大の理由は、トランス脂肪酸の存在です。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、ファストフードなどに含まれる油脂の一種。

元々は高価なバターの代替品として「人造バター」の名で登場したマーガリン。植物油由来ということもあり「健康に良さそう」というイメージで広まりました。しかし、その実態は全くの逆だったのです。

トランス脂肪酸が引き起こす健康リスク

数々の研究で、トランス脂肪酸の摂取は様々な健康リスクを高めることが明らかになっています。

  • 動脈硬化のリスク増加: 悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあり、動脈硬化を促進。心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。(※1)
  • 心臓病のリスク増加: 1日の摂取エネルギーの2%をトランス脂肪酸が占めると、心臓病のリスクが16%も増加。(※2)
  • 糖尿病リスク増加: トランス脂肪酸の摂取は、糖尿病の発症リスクを高める可能性も指摘されています。(※3)
  • 認知症リスク増加: 認知機能の低下や認知症のリスクを高める可能性も示唆されています。(※4)

世界が進む「トランス脂肪酸規制」の波

これらの健康への影響を重く見て、WHO(世界保健機関)は2023年までに「食品に含まれるトランス脂肪酸の完全排除」を目標に掲げました。

トランス脂肪酸を含む食品トランス脂肪酸を含む食品

アメリカやカナダ、台湾など多くの国では、WHOの目標に賛同し、すでにトランス脂肪酸の使用を禁止、または規制しています。

なぜ日本では販売が続いているのか?

世界的な流れとは裏腹に、日本ではいまだにマーガリンが販売されています。その理由は、日本独自の規制基準にあります。

日本でも、トランス脂肪酸の健康リスクについては認識されています。しかし、アメリカのように全面的な販売禁止には至っていません。

健康を守るためにできること

日々口にするものだからこそ、健康への影響は気になるところです。マーガリンを選ぶ際には、トランス脂肪酸含有量をチェックするようにしましょう。

また、可能な限りトランス脂肪酸の摂取量を減らすために、以下のような取り組みも有効です。

  • バターやオリーブオイルなど、代替となる油脂を選ぶ
  • 加工食品の摂取を控える
  • 商品の原材料表示をよく確認する

毎日の食生活を見直し、健康的な食生活を心がけましょう。

(※1)Mozaffarian, D., et al. “Trans fatty acids and cardiovascular disease.” New England Journal of Medicine 354.15 (2006): 1601-1613.
(※2)Bendsen, N. T., et al. “Consumption of industrial trans fatty acids and the risk of myocardial infarction: a prospective study in the Danish Diet, Cancer, and Health cohort.” European Journal of Clinical Nutrition 67.8 (2013): 876-881.
(※3)Hu, F. B., et al. “Dietary fat intake and the risk of type 2 diabetes in women.” The American Journal of Clinical Nutrition 61.4 (1995): 667-675.
(※4)Morris, M. C., et al. “Dietary intake of fatty acids and the risk of incident Alzheimer disease and cognitive decline.” Archives of Neurology 62.11 (2005): 1685-1690.