トランプ氏、安倍晋三氏との交渉内幕明かす「返り咲き目指していた」


 トランプ氏は関税引き上げ策について説明する際、「同盟国は、敵対国よりも、米国をうまく利用してきた」と発言し、一例として日本を挙げた。その上で「(安倍氏の)存命中は明かしたことのない会話」として、大統領在任中に当時首相だった安倍氏との交渉の一幕も紹介した。

 トランプ氏によると「シンゾー、話さないといけないことがある。貿易についてだ」と話しかけると、安倍氏は「分かっている」と返答。「どう分かっているのだ」と問うと、安倍氏は「米国が我々と(貿易に関する)交渉をしてこなかった期間の長さは信じられないほどだ」と答えたという。

 トランプ氏はこの際に「日本は米国車を受け入れないのに、我々は何百万台もの日本車を買っている」「日本は米国産の農産物を受け入れさえしない」などと主張し、日本市場の開放を求めたという。

 トランプ前政権は当時の安倍政権に貿易交渉を要求した。20年1月には日米貿易協定が発効し、日本側は米国産農産物、米国側は工業製品などの関税をそれぞれ引き下げた。ただ、日本が求めた自動車と自動車部品への関税撤廃は先送りされた。

 日米貿易交渉は「第2段階」が棚上げされているが、トランプ氏が大統領選で返り咲いた場合、交渉再開の公算が大きくなる。【ワシントン秋山信一】



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