【ウクライナ侵攻】北朝鮮軍400人、ロシア極東に殺到か… 韓国情報院発表にロシア側「戦況に影響は限定的」

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ロシア沿海州ウスリースクの軍事施設に集結したとされる北朝鮮軍。韓国国家情報院提供

韓国国家情報院が、北朝鮮がロシアへの派兵を決定したと発表し、波紋が広がっている。ロシア側は静観を保つ一方、軍事専門家からはその影響力に疑問の声が上がっている。

韓国、衛星写真公開し派兵を裏付け

韓国国家情報院は、北朝鮮がウクライナ侵攻を支援するため、1万2000人規模の兵力をロシアに派遣することを決定したと発表した。情報院は、北朝鮮軍の動向を示す衛星写真を公開し、派兵を裏付ける証拠だと主張している。

ウクライナ側も、北朝鮮軍の訓練の様子を捉えた動画など、様々な資料を提示し、韓国側の主張を支持している。

ロシア側「情報ない」「影響は限定的」

一方、ロシア側は北朝鮮軍の派兵について公式なコメントを発表していない。ロシアメディアによると、下院国防委員会のユーリ・シュビトキン副委員長は「北朝鮮のウクライナ特別軍事作戦準備と参加、配置に対する情報はない」と述べている。

また、下院国防委のアレクセイ・ジュラブリョフ第1副委員長は「われわれはどの国の助けも歓迎するだろう」としながらも、「北朝鮮軍が戦線の状況に決定的影響を与えるのは難しい」との見解を示した。その理由として、ジュラブリョフ氏は、北朝鮮軍の戦闘経験不足と、新兵訓練の必要性を指摘している。

専門家「最新鋭のNATO軍でさえ確認していない」

ロシアの軍事評論家ミハイル・ホダレノク氏もまた、北朝鮮軍の派兵が戦況に大きな変化をもたらすとは考えにくいと分析している。

ホダレノク氏は、1万2000人という兵力は、ロシア軍の戦力に大きく貢献するほどの規模ではないと指摘。さらに、最新鋭の軍事力と情報力を誇るNATOでさえ北朝鮮軍の派兵を確認していないこと、北朝鮮に影響力を持つ中国が沈黙を守っていることを挙げ、「この事件は推測の領域にあるとみることができる」と述べた。

ロシアの抱える兵力不足を解消?

ノルウェー・オスロ大学のパク・ノジャ韓国学教授は、ロシアが現在抱える兵力不足と労働力不足という課題に対し、「北朝鮮はこの2つの問題を解決する潜在力がある」と指摘している。

北朝鮮の動向は、ウクライナ情勢の行方を左右する要素の一つとして、国際社会から引き続き注目を集めそうだ。