米ニューヨークの連邦地検は22日、カジュアルブランド「アバクロンビー&フィッチ」のマイク・ジェフリーズ前最高経営責任者(CEO、80歳)ら3人を性的人身売買などの罪で逮捕、起訴したと発表した。自らの財力や影響力を利用し、モデル志望の男性ら15人に性行為を強要したとしている。同社は日本でも「アバクロ」と呼ばれ、若者らの間で人気がある。
ジェフリーズ被告のほかに起訴されたのは、パートナーのマシュー・スミス被告(61)とジェームズ・ヤコブセン被告(71)。
起訴状などによると、被告らは2008~15年ごろ、同社のモデルになれると信じ込ませて男性ら15人に対し、ニューヨークのほか、英国やフランスなどのホテルで性行為イベントに参加させたとされる。
男性らは直前まで詳細を知らされず、秘密保持契約を結ぶよう求められたという。最年少は当時19歳で、大半がモデルを目指していた。数人はアバクロの店舗で勤務する従業員で、所属モデルもいたという。
ジェフリーズ被告を巡っては、英BBCが昨年10月、複数の男性を性的に搾取していたと報じた。組織的な性的人身売買を見過ごしていたとして、同じ月に元所属モデルがアバクロを相手に民事訴訟を起こし、米連邦捜査局(FBI)も捜査に乗り出していた。
被告は1992~2014年にアバクロのCEOを務めた。性的人身売買の罪で有罪評決を受けた場合、最長で終身刑が下される。米紙ニューヨーク・タイムズによると、アバクロはコメントを拒否した。【ニューヨーク中村聡也】