【AFP=時事】妻の意識を鎮静剤で失わせ、インターネットで募った男72人に性的に暴行させたとして起訴されたフランス人ドミニク・ペリコ(Dominique Pelicot)被告(71)の裁判で23日、被害者で先月離婚が成立した元妻のジゼル(Gisele Pelicot)さん(71)が証言した。ジゼルさんは、事件に「打ちひしがれた」と明かす一方、性犯罪被害者のために社会を変える決意を表明した。
南仏アビニョン(Avignon)の裁判所で、ドミニク被告と共同被告50人の裁判が始まって以降、ジゼルさんはフランスでフェミニストのアイコンとなっている。
この事件はフランス社会における男性による暴力に対する恐怖、抗議、議論を呼び、法廷での痛ましい証言は国民の関心を集めている。
ジゼルさんは23日、2回目となる法廷での証言で、「私は完全に打ちひしがれた女性だ」と打ち明ける一方、性的暴行に対する社会の対応を変えたいと「決意」を表明した。
ジゼルさんは薬物を利用した性的虐待への関心を高めるため、当初から公開裁判を求めていた。
また、性犯罪の被害に遭った他の女性たちにも名乗り出るよう呼び掛けている。「性的暴行被害に遭ったすべての女性が『ミセス・ペリコにもできたのだから私たちもできる』と自分に言い聞かせてほしい」とし、「恥ずべきは私たち被害者ではない。加害者の方だ」と訴えた。
ロジェ・アラタ(Roger Arata)裁判長はジゼルさんに対し、これまでの裁判についてどう感じているかを尋ねた。
この問いに対しジゼルさんは「どう立ち直ればいいのか分からない」「もうすぐ72歳になるが、ここから立ち直れるだけの人生が残されているか分からない」と応じた。
■「計り知れない裏切り」
ジゼルさんはその後、目を背けて被告席に座っている元夫ドミニク被告に対し、約10年にわたって自分に薬を盛り、性的に暴行したり、他人を募って暴行させたりした理由を尋ねた。