間近に迫った衆議院選挙。自民党と公明党の連立政権は、過半数の議席確保を目標に掲げているものの、現状は予断を許さない状況です。連日、与野党の激しい攻防が報道されていますが、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は、どちらが勝利しても「日本に明るい未来は見えない」と厳しい見方を示しています。
なぜ解散総選挙に至ったのか? 石破首相の思惑
そもそも今回の解散総選挙は、一体何のために行われるのでしょうか? 石破茂首相は就任前、解散権の濫用は絶対にしないと明言していました。しかし、国民との約束を反故にするかのように、就任早々に解散に踏み切りました。
就任直後は内閣支持率が高くなる傾向があるため、「支持率が下がる前に」というのが本音でしょう。石破首相は、これまでも「党内での人気は低くても、国民人気は高い」と言われてきました。そのため、解散すれば勝利できるという計算があったのかもしれません。
しかし、蓋を開けてみれば、時事通信の世論調査(10月)では、内閣支持率はわずか28%。危険水域と言われる2割台からのスタートとなってしまいました。国民人気も、必ずしも高いとは言えない状況です。
野党第一党、立憲民主党にも不安要素が
一方、野党第一党の立憲民主党は、自民党への逆風に乗じて躍進を遂げようとしています。しかし、たとえ自民・公明両党の過半数割れに追い込んだとしても、政権交代までは難しいのが現状です。
立憲民主党の野田佳彦代表は、「金融所得課税を25%に引き上げる」「目標物価を0%にする」など、日本経済の停滞を招きかねない政策を主張しています。仮に立憲民主党が政権を握ったとしても、それが本当に日本のためになるのかどうかは疑問視されています。
石破首相に欠ける「総理としての風格」
渡瀬氏は、今回の選挙戦について、以下のように解説しています。
「石破内閣による、理由が不明瞭な解散総選挙は、いよいよ終盤に差し掛かっています。当初は、内閣支持率が下がる前に解散するという、与党の自己都合選挙の色合いが強いものでした。しかし、自公連立政権が過半数割れする可能性が出てきた今、その理由すらも失われつつあります。」
「石破首相が応援演説に入ったとしても、『総理が演説に来る!』という盛り上がりは感じられません。そもそも石破首相には、『総理としての風格』が感じられないのです。客寄せパンダとして期待されていた小泉進次郎選対委員長も、勉強不足が露呈し、カリスマ性は失われてしまいました。パンダを見に行くことはあっても、その発言内容に期待する人はいないでしょう。これほど無意味で空虚な選挙戦は、かつてなかったのではないでしょうか。」
「一方、野党第一党の立憲民主党は、古い体質のメディアが設定した『政治とカネ』という争点で選挙戦を戦っています。」
まとめ
今回の衆議院選挙は、日本の未来を占う重要な選挙です。しかし、与党、野党ともに、国民に希望を与えるような政策を打ち出せているとは言えません。どちらに転んでも、日本の未来は明るくないのかもしれません。