海上自衛隊の護衛艦「かが」が、アメリカ本土沖で実施される日米共同訓練に参加するため、10月中旬に出港しました。今回の任務では、改造によって短距離離陸・垂直着陸(STOVL)が可能なF-35B戦闘機に対応する能力が付与されたかどうかの確認が主な目的です。
いずも型護衛艦2番艦「かが」とは?
「かが」は、ヘリコプターを複数同時運用可能な、いずも型護衛艦の2番艦です。基準排水量は1万9500トン、全長は248mにおよび、海上自衛隊では最大の戦闘艦艇として知られています。2017年3月に就役し、広島県の呉基地を拠点とする第4護衛隊群第4護衛隊に配備されていました。
「事実上の軽空母」へ改装
「かが」は、姉妹艦の「いずも」とともに、事実上の軽空母へと改装されることが決定し、2022年3月から2024年4月まで大規模な改造工事が行われました。今回のアメリカ本土沖への派遣は、この改造によって計画通りの能力が付与されているかを確認するための重要な試験航海となります。
アメリカ海軍式「レインボーギャング」とは?
今回の任務では、研修のためパイロットや整備員など約20人の航空自衛官が「かが」に乗艦しています。注目すべきは、彼らがアメリカ海軍の原子力空母と同様、役割ごとに色分けされたベストを着用している点です。
これは、空母の飛行甲板で作業する航空要員を「フライトデッキ・クルー」と呼び、各種作業を安全かつ効率的に実施するために、役割分担を明確化しているアメリカ海軍の方式です。役割が一目でわかるようにするための工夫として採用されているのが、この色鮮やかなベストであり、その見た目から「レインボーギャング」と呼ばれることもあります。
レインボーギャングの役割分担例
- 赤: 爆発物処理担当
- 紫: 燃料補給担当
- 緑: 機体整備担当
- 黄: 航空機誘導担当
- 青: 弾薬搭載担当
- 茶: 航空機牽引・機体固定担当
- 白: 安全管理担当
海上自衛隊の護衛艦「かが」の甲板で、F-35B戦闘機の周囲で作業する「レインボーギャング」
今後の展望
「かが」は11月中旬に一連の試験を終えて、12月に呉基地へと帰還する予定です。航空自衛隊では2025年よりF-35B戦闘機の導入が始まるため、それに合わせて自衛官の「レインボーギャング」も実任務に就くことになります。日本近海の防衛力強化に向けて、今後の動向に注目が集まります。