【ニューヨーク=淵上隆悠】米大統領選共和党候補のトランプ前大統領が27日に開いた集会で、登壇したコメディアンがカリブ海の米自治領プエルトリコを「ゴミの島」と発言し、波紋を広げている。米本土には出身者約580万人が暮らしているとされ、民主党候補のハリス副大統領が非難している。
ニューヨークで開かれた集会で、コメディアンのトニー・ヒンチクリフ氏が中南米系移民をやゆして「海の真ん中に浮かぶごみの島がある。プエルトリコと呼ばれている」と述べた。
プエルトリコは1898年の米西戦争でスペイン領から米国領になった経緯から、島民約320万人の大半がヒスパニックだ。プエルトリコで大統領選の投票は行われないが、激戦州の一つペンシルベニアには出身者が約47万人いるとされる。反発が広がれば、結果に影響する可能性もある。
ハリス氏は28日、ワシントン近郊で記者団に「国民は米国を『ゴミ箱』呼ばわりするのではなく、国民を高揚させる大統領を望んでいる」と批判した。
トランプ氏は29日、米ABCニュースの取材に対し、「誰かが(ヒンチクリフ氏を)ステージに上げた。私は彼を知らない」と弁明したが、共和党内から異論が相次いでいる。党プエルトリコ支部の委員長は28日、「トランプ氏が謝罪しない限り支持を差し控える」と語った。