イスラエル軍がガザ北部ベイトラヒアを空爆し、多数の死傷者が出た事件を受け、国際社会から非難の声が上がっています。本記事では、この悲劇的な出来事の詳細と、深まる人道危機について解説します。
ベイトラヒア空爆、悲劇的な犠牲
10月29日、イスラエル軍によるガザ北部ベイトラヒアの空爆で、集合住宅が攻撃を受け、多数の死者と行方不明者が出ています。ハマスが運営するガザ保健省によると、少なくとも93人が死亡または行方不明とのことです。ソーシャルメディア上には、犠牲者の痛ましい姿が映し出された動画が拡散され、世界に衝撃を与えました。
イスラエル国防軍(IDF)は民間人被害の報告を認識しているとし、調査中との声明を発表しています。IDFは過去2週間、ガザ北部で軍事作戦を展開しており、ベイトラヒアもその標的となっていました。
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アメリカも「恐ろしい出来事」と非難
米国務省のマシュー・ミラー報道官はこの空爆を「恐ろしい出来事」と非難し、民間人の犠牲を深く憂慮する声明を発表しました。特に、多数の子供を含む民間人が犠牲になったとの報告を受け、改めて戦争終結の必要性を訴えています。
ガザ北部の医療崩壊、人道危機深刻化
ガザ北部の医療体制は崩壊寸前です。ジャバリアにあるカマル・アドワン病院は、子供たちの治療に尽力しているものの、人員と医薬品の不足に深刻な問題を抱えています。IDFは先週、同病院をハマス戦闘員が使用していると主張し急襲しました。この攻撃により、病院の機能は著しく低下し、医療物資も不足している状態です。
ガザ北部では数十万人の住民が絶望的な状況に置かれ、人道危機は日に日に深刻化しています。国連人権高等弁務官は、イスラエル軍の行動が住民全体を空爆、包囲、飢餓の危険にさらしていると非難しています。
イスラエル、UNRWAの活動を一時禁止
イスラエル議会は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のイスラエル国内および占領下東エルサレムでの活動を3カ月間禁止する法案を可決しました。これにより、すでに厳しい状況にあるパレスチナ難民の生活はさらに困難になることが懸念されています。
ハマスによる襲撃から続く紛争
今回の紛争は、昨年10月7日にハマスがイスラエル南部を襲撃し、多数の死者と人質を出した事件に端を発しています。イスラエルは報復としてハマス壊滅作戦を開始し、ガザ地区では多くの死傷者が出ています。
イスラエルはガザ北部での作戦はハマスの再編を阻止するためと主張し、ハマスが民間人の中に潜伏していると非難しています。一方、ハマス側はこれを否定しています。
ガザ地区における情報確認は困難を極めています。イスラエルはBBCを含む国際ジャーナリストのガザ地区への独立したアクセスを認めておらず、正確な情報収集が阻まれています。
深まる対立、出口見えない紛争
イスラエルとハマスの対立は激化の一途を辿り、出口の見えない状況が続いています。国際社会は停戦と人道支援を呼びかけていますが、事態の打開には至っていません。一刻も早い和平実現と人道支援が求められています。