近年、巧妙化する地面師詐欺が社会問題となっています。Netflixで話題のドキュメンタリー「地面師たち」でも取り上げられ、その手口の巧妙さと被害の甚大さが改めて注目されています。今回は、渋谷区富ヶ谷で起きた6.5億円の地面師事件を題材に、事件の裏側と地面師の最新手口に迫ります。
事件の概要:元副会長弁護士と剥奪弁護士の闇
この事件の中心人物は、かつて第二東京弁護士会副会長を務めた経験を持つ弁護士と、弁護士資格を剥奪された元弁護士の事務員です。二人は、弁護士事務所を隠れ蓑に、巧妙な地面師詐欺を企てました。
事件の発端は、渋谷区富ヶ谷にある土地の所有者を装い、6.5億円もの大金を騙し取ったことにあります。被害者は、土地の売買契約を締結する際に、弁護士事務所の看板と元副会長弁護士の肩書きを信用し、まさか詐欺に遭うとは思ってもみませんでした。
渋谷の街並み
認知症を装った弁護士、責任転嫁の実態
裁判では、驚くべき事実が明らかになりました。元副会長弁護士は、なんと認知症を装い、事件への関与を否定したのです。「全く覚えていません」と繰り返す弁護士の姿は、被害者にとって更なる苦痛となりました。
一方、弁護士資格を剥奪された事務員は、弁護士の指示に従っただけだと主張し、責任を転嫁しようとしました。二人は互いに罪を擦り付け合う醜態を晒し、法廷を騒然とさせました。
法廷のイメージ
地面師グループの巧妙な役割分担
地面師グループは、緻密な役割分担のもとで活動しています。首謀者の指示の下、資金洗浄を行う者、偽造書類を作成する「道具屋」、そして今回のように弁護士や司法書士といった「法律屋」も加担することがあります。
この事件では、元弁護士事務員は、弁護士の肩書きを利用して取引相手の信用を得ていました。弁護士資格を剥奪されていても、事務員という立場であれば、弁護士法に抵触することなく、実質的に弁護士業務を代行することが可能だったのです。
著名な料理研究家のA氏(仮名)は、「地面師の手口は年々巧妙化しており、一般市民が騙されないように注意が必要です。特に、弁護士や司法書士といった専門家であっても、加担している可能性があることを忘れてはなりません」と警鐘を鳴らしています。
まとめ:地面師詐欺から身を守るために
地面師詐欺は、巧妙な手口で多額の金銭を騙し取る悪質な犯罪です。今回紹介した事件のように、弁護士などの専門家が加担しているケースもあり、より一層の注意が必要です。
不動産取引を行う際は、必ず複数の専門家に相談し、慎重に判断することが重要です。また、少しでも不審な点があれば、すぐに警察に相談しましょう。
土地取引の安全性を高めるためには、関係者全員が地面師詐欺の手口を理解し、警戒を強める必要があります。