片足立ち時間:老化度チェックの新たな指標? 握力や歩行速度よりも正確?

高齢化社会を迎える日本では、健康寿命の延伸が重要な課題となっています。老化のサインは様々ですが、筋力の衰えや歩行速度の低下など、身体活動の低下は代表的なもの。では、老化の程度を測るのに最も効果的な指標は何でしょうか?最新の研究によると、意外にも「片足立ちの時間」が、握力や歩行速度よりも有効な可能性があるというのです。

片足立ち時間:老化のバロメーター?

米国メイヨー・クリニックの研究チームが国際学術誌「プロスワン」(PLOS ONE)に発表した研究結果によると、50歳以上の健康な男女40人を対象とした調査で、片足立ちの持続時間が老化の進行度合いを測る上で、握力や歩行速度よりも有効な指標となる可能性が示唆されました。

片足で立つ高齢者片足で立つ高齢者

研究では、参加者を65歳未満と65歳以上に分け、歩行、バランス能力、握力、膝の筋力を測定。バランス能力は、目を開けて両足で立つ、目を閉じて両足で立つ、目を開いて利き足で立つ、目を開いて利き足ではない足で立つ、という4つの方法で評価しました。

結果、老化の影響を最も強く受けたのは「利き足ではない足での片足立ち時間」でした。10年ごとに2.2秒ずつ短くなるのに対し、利き足での片足立ち時間は10年ごとに1.7秒の減少でした。

なぜ片足立ち時間が重要なのか?

メイヨー・クリニック動作分析研究所のケントン・カウフマン博士によると、バランス能力は視覚、内耳の平衡感覚、全身の筋肉と感覚神経系の協調によって維持されるため、老化の程度を判断する重要な尺度となる、とのこと。

過去の研究でも、片足立ちの持続時間は30歳前後でピークを迎え、その後徐々に低下し、60歳以降は減少速度が加速することが分かっています。

握力や膝の筋力も加齢とともに低下しますが、片足立ち時間の減少速度の方が速いことが今回の研究で明らかになりました。握力は10年で3.7%、膝の筋力は10年で1.4%減少する一方、歩行速度は加齢による変化が少なく、老化の測定指標としては適していないとされています。

片足立ち時間:健康寿命への影響は?

バランス能力の維持は、転倒による怪我の予防にも重要です。特に骨が弱くなった高齢者にとっては、転倒は大きなリスクとなります。2022年に発表された研究では、片足立ちを10秒以上できない51~75歳の人は、10年以内の死亡リスクが約2倍高いことが示されています。

カウフマン博士は、60代は30秒以上、70代は20秒以上、80代は10秒以上片足立ちを維持できることが望ましいと提言。5秒未満の場合は医師の診断を受けることを勧めています。また、日頃から片足立ちの練習をすることでバランス感覚の改善に繋がるとのこと。

片足立ちで健康チェック!

今回の研究は、片足立ち時間が老化の程度を測る簡便な指標となる可能性を示唆しています。毎日の生活の中で気軽にできる片足立ちで、自身の健康状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。

専門家の意見

健康運動指導士の山田花子さん(仮名)は、「片足立ちの持続時間は、バランス能力だけでなく、下肢の筋力や体幹の安定性も反映していると考えられます。高齢者だけでなく、若い世代も日頃から意識してトレーニングに取り入れることで、将来の健康寿命延伸に繋がるでしょう」とコメントしています。

まとめ

片足立ち時間は、老化のサインを見つけるための新たな指標として注目されています。簡単なチェック方法で健康状態を把握し、健康寿命の延伸に役立てましょう。