アメリカ大統領選挙は、ドナルド・トランプ前大統領の勝利という衝撃的な結果で幕を閉じました。今回の選挙結果が世界と日本にどのような影響を与えるのか、現地取材を行ったジャーナリスト池上彰氏に緊急インタビューを行いました。本記事では、トランプ氏の勝利の背景、今後の世界情勢、そして日本への影響について詳しく解説します。
アメリカ版「階級闘争」の勝利
altドナルド・トランプ前大統領(写真:アフロ)
池上氏は、トランプ氏の勝利をアメリカ版「階級闘争」の勝利だと分析しています。グローバル経済の進展により、アメリカの製造業は衰退し、ラストベルトと呼ばれる地域には失業者が溢れかえっています。民主党は、都市部のエリート層に寄り添い、これらの「忘れられた人々」の声を拾い上げることはありませんでした。
一方、トランプ氏は「自国第一主義」「労働者農民第一」を掲げ、彼らの支持を獲得しました。かつてエリート層の支持基盤であった共和党は、今こそトランプ氏の支持者によって「占領」されているのです。
世界への影響:新秩序形成の苦難
トランプ氏の勝利は、アメリカ国内だけでなく世界にも大きな影響を与えるでしょう。「自国第一主義」に基づく保護貿易政策は、世界経済に悪影響を及ぼす可能性があります。日本経済も例外ではなく、厳しい状況に直面する可能性が高いです。世界各国は、トランプ革命ともいうべきこの新たな潮流にどう対応していくのか、難しい舵取りを迫られることになるでしょう。
軍事秩序の混沌:ウクライナ、中東、東アジアへの影響
alt池上彰氏
トランプ氏は、ウクライナ戦争を24時間で解決すると豪語していますが、これはウクライナへの支援を停止し、ロシアへの譲歩を促すことを意味します。結果として、欧州全体がロシアの脅威に震えることになるかもしれません。中東では、イスラエルによるイラン核施設への攻撃を促しており、第5次中東戦争勃発の危険性も孕んでいます。
東アジアにおいても、北朝鮮の金正恩氏との親密な関係を誇示するトランプ氏の姿勢は、朝鮮半島情勢を不安定化させる可能性があります。在韓米軍の撤退も懸念されます。また、台湾問題に関しても、中国による攻撃に対して軍事介入を示唆していないことから、台湾の安全保障が脅かされる可能性も否定できません。
日本への影響:在日米軍駐留経費の増額要求
日本にとって、トランプ氏の再選は在日米軍駐留経費の増額要求につながる可能性が高いです。さらに、1期目とは異なり、2期目ではトランプ氏の暴走を止めるスタッフが不在となる可能性があり、その影響は計り知れません。
石破首相はトランプ氏にどう対応するのか?
日本政府は、トランプ氏の要求にどう対応していくべきなのでしょうか。池上氏は、トランプ氏が上から目線のお説教口調を嫌うことを指摘し、石破首相のコミュニケーション方法に懸念を示しています。
11月7日、石破首相はトランプ氏と電話会談を行い、早期の対面会談を約束しました。しかし、トランプ氏が突きつけてくるであろう「本音」の要求に、石破首相はどれだけ対応できるのか、今後の動向に注目が集まります。