マイナンバーカード保険証、医療現場の混乱と課題:7割がトラブル経験

マイナンバーカード保険証への移行が進む中、医療現場では混乱と課題が山積しています。本記事では、医療関係者への調査結果や現場の声を元に、マイナンバーカード保険証の現状と問題点を探ります。

医療現場の7割がトラブルを経験

全国保険医団体連合会(保団連)の調査によると、医療機関の約7割がマイナンバーカード保険証に関するトラブルを経験していることが明らかになりました。これは、以前の調査と比較して約10%増加しており、深刻な状況と言えるでしょう。

医療機関のトラブル発生率医療機関のトラブル発生率

トラブルの内容は?

保団連副会長で北原医院(大阪府守口市)の井上美佐院長によると、主なトラブルとしては、氏名や住所などの情報が「●」と表示される、カードリーダーが正常に読み取れないといったケースが多いとのこと。政府が改善に取り組んでいる「誤紐付け」も依然として発生しており、自己負担割合の誤請求や資格取得日の誤表示といった事例も報告されています。

カードの取り忘れや情報不足も問題に

医療現場での混乱は、トラブル発生だけにとどまりません。ドクターケンクリニック(千葉市)の中村健一院長は、患者がカードを読み取り機から取り忘れるトラブルが頻発していると指摘。警告音がないため、次の人が誤って持ち去ってしまう可能性もあると懸念を示しています。また、読み取り機の位置が高いため、車椅子利用者や顔認証に困難を抱える患者への配慮も課題となっています。

薬剤師も不安の声

薬局でも、マイナンバーカード保険証による情報不足が問題視されています。東京都薬剤師会の永田泰造前会長によると、オンライン資格確認システムで得られる情報は、保険請求で確定したレセプト情報のため、約1ヶ月前の情報しか確認できないとのこと。患者が現在服用している薬の最新情報が得られないため、適切な服薬指導に支障をきたす可能性も懸念されています。

今後の展望

マイナンバーカード保険証への移行は、医療現場に大きな変化をもたらしています。しかし、現状では様々な課題が山積しており、関係者からは不安の声が上がっています。政府は、これらの問題点に真摯に向き合い、早急な改善策を講じる必要があるでしょう。医療の質を維持し、患者にとって安全で安心な医療体制を構築するためにも、更なる努力が求められています。