【A-10デモチーム、ラストフライトを完了】惜しまれつつ空の舞台から去る「守護天使」

A-10「サンダーボルトII」のデモンストレーションチームが、2024年11月10日、惜しまれつつ最後のフライトを終えました。長年にわたり、世界中の航空ショーで観客を魅了してきた「空の守護天使」の勇姿を、改めて振り返ってみましょう。

40年の歴史に幕:A-10デモチームの軌跡

A-10デモチームは約40年間、世界10カ国で1800回以上の航空ショーやイベントに出演し、その迫力ある飛行で観客を魅了してきました。その貢献は軍のリクルート活動にも大きく寄与したとされ、アメリカ空軍にとって重要な存在でした。

alt="特別塗装を施されたA-10Cがラストフライトで飛行する様子。ベトナム戦争の退役軍人に敬意を表し、F-105D「メンフィスベルII」と同じカラーリングが施されている。"alt="特別塗装を施されたA-10Cがラストフライトで飛行する様子。ベトナム戦争の退役軍人に敬意を表し、F-105D「メンフィスベルII」と同じカラーリングが施されている。"

2018年までは2チーム体制でしたが、その後は1チームに統合。そして、A-10の退役計画に伴い、2024年3月21日に解散が発表され、今回のラストフライトに至りました。

感動のラストフライト:ベトナム戦争へのオマージュ

フロリダ州スチュアートで行われた最後の飛行は、ベトナム戦争の退役軍人への敬意を表し、国立アメリカ空軍博物館に展示されているF-105Dサンダーチーフ「メンフィスベルII」と同じカラーリングを施したA-10Cで行われました。航空史に名を刻む名機へのオマージュとして、深い感動を呼び起こしました。

A-10「サンダーボルトII」:その魅力と退役への展望

「スゴい乗りものだった」とデモチームの公式フェイスブックが称賛するA-10。その力強い飛行と独特のデザインは、多くの航空ファンを魅了してきました。航空評論家の山田一郎氏も「A-10は近接航空支援における比類なき存在であり、その退役は大きな損失だ」と語っています。

A-10は2029年までに全機退役する予定で、一部の機体はヨルダンに譲渡される可能性も検討されています。空の守護天使の勇姿は、人々の記憶にいつまでも残ることでしょう。

A-10デモチームへの感謝と未来への期待

デモチームの公式フェイスブックは、「本当に素晴らしい旅でした。40年以上にわたり、10カ国で1800回を超える公演を行い、素晴らしい機体、パイロット、チームのパフォーマンスを披露する私たちを支援してくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます」と感謝の言葉を述べています。

A-10の退役は寂しい限りですが、その魂は未来の航空機開発に受け継がれていくことでしょう。そして、新たな世代の航空機が、再び人々に夢と感動を与えてくれることを期待します。